頼朝と義時 武家政権の誕生 呉座勇一 (著) 講談社 (2021/11/17) 1,100円

日本史を変えた「鎌倉殿」と「執権」という、2人の政治家――。

源平合戦から承久の乱まで、武士中心の社会は、いかにして生まれたか?

朝廷と幕府の関係が劇的に転換する日本史上の画期を描き出す!

・流人の頼朝を、北条氏が庇護した理由とは?
・富士川合戦の実像
・一の谷合戦の勝因は?
・源平合戦とは「武家の棟梁」勝ち抜きトーナメントだった
・頼朝の権力は、従来の「武家の棟梁」とは何が異なるのか?
・なぜ弱小御家人が筆頭の地位を占めるに至ったか?
・ポスト頼家をめぐる北条氏と比企氏の対立
・父時政を追放した義時
・実朝暗殺という窮地
・承久の乱は何をもたらしたか……

したたかに、武士の世を切り拓いた二人の奮闘に迫る!

貴族的であるがゆえに頼朝には限界もあった。朝廷に仕える「王家の侍大将」という自己認識が強く、朝廷と大きな軋轢を起こしてまで武士たちの権利を擁護するという意識は希薄だった。

結果、鎌倉幕府成立後も、公家が武家に優越する体制は続いた。

この体制を覆したのが承久の乱であり、その勝者が義時である。

東国武士として生まれ、かつ義兄頼朝の政治(と権謀術数)を学んだ義時という人物が、頼朝の後継者として必要だった。

武士一般の利益を代弁する組織としての鎌倉幕府が成立するには、頼朝と義時という二人の政治家が不可欠だった。

どちらか一人だけでは不十分なのだ。本書が武家政治の創始者として、頼朝と義時の二人を取り上げる所以である。

「呉座先生のことを鎌倉の素人と書いているレビューがいくつかあるが大間違い。長期の視点で荘園制という経済の基盤がどう武家政権に受け継がれたかを書くためには呉座先生や本郷先生のような歴史を長く切り取る視点が必用。頼朝や義時という個人にフォーカスしてもこの時代のことを本質的に理解することはできない。古い個人の評伝による歴史観に毒されている人にはわからない新しさがある良書。」

「武家政治の創始者ともいうべき頼朝・義時を中心とした歴史解説新書で、評伝と時代解説の比重が半々という印象ですので、当時の時代背景を知りつつ頼朝・義時の人物像もイメージできる内容になっているかと思います。
ベースは「吾妻鑑」ですが、この話は「愚管抄」に拠る、あの話は「玉葉」・・・と、それぞれの出典を並べながら現時点の中世研究も交えて解説されていたおかげで、新書のボリュームでも現状の歴史研究の成果に触れられた点は個人的に満足しました。
また、日本史を通じ源氏は身内の争いがとても多い、平氏は一門では比較的団結している・・・という印象だったのですが、源氏同士が運命的に争わなければならない程「源氏の嫡流」であることには武家社会において重みがある、ということもイメージが湧きました。」

「鎌倉時代の北条氏の台頭は北条政子のお陰、くらいの知識しかなかったが、本書で成り立ちがよくわかった。ひとつ一つの説をよく検証しながら妥当性の高い見方を拾い上げていくのだか、それが読みやすく書かれているから、とても納得感を得られる。面白かった。」


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