バイク乗りはクルマを走らせても速い!
ライディングから学ぶクルマのドラテク向上術
昔の若者たちは16才で二輪の免許を取得し、さんざんバイクに乗った上で18才になると四輪(普通自動車)免許を取得してクルマに乗り換えるという、いわば乗り物のステップアップを当たり前のように実践していました。
どちらが上でもどちらが楽しいというわけでもなく、免許制度もあって必然的にそうならざる得ない部分もあったのです。
しかし、時代は変わって今ではそんな若者の乗り物文化も衰退の一途を辿っています。
目次
伝説のレーサーたちは二輪から四輪に乗り替えても速いことを証明
とくに二輪を経験してから四輪に乗り替えることでドライビングにも好影響を及ぼしているのではないかと感じることがあります。
そこで今一度、二輪と四輪の走らせ方について考えてみようというのが今回のテーマ。
きっかけは先日、他界されたレジェンドレーサーである高橋国光さんの存在。
クルマ好きの方ならご存じだと思いますが、高橋国光さんは1960年代にはホンダワークスのライダーとして世界GPに参戦し、日本人初の世界GP優勝を遂げたバイク界でもレジェンド中のレジェンドなのです。
その後は四輪のレーサーに転身し、華々しい戦績を収めるのはご存じの通りでしょう。
さらに星野一義さん、宮城光さんといった元二輪レーサーが四輪レースで活躍するケースは過去も現在も変わらず。
そこから二輪のライディングテクニックは四輪の操縦に好影響を与えているのではないか?
という仮説を立ててみます。
夏が来る、バイク乗りて pic.twitter.com/MEU1kdnWRm
— 不 (@lifeMelhor) June 29, 2022
ライダーが四輪でも速い理由はシビアなライン取りを習得しているから
二輪と四輪では操縦することを指す言葉が異なる。バイク=ライディング、クルマ=ドライビングと違うことから、まったく別のテクニックだと考えてもいいでしょう。
車体を傾けてコーナリングする二輪とハンドル操作をメインにしている四輪では、コーナリングのアプローチも異なるのです。
シフト操作やアクセルワーク、ブレーキングなどの操作系もまったくの別物です。
しかしスポーツ走行、とくにサーキットに限定すれば基本的な思考はそれほど違いはないのかもしれません。
その証拠に、二輪でサーキットを走っていた一般のライダーが、クルマに乗り替えてもそこそこのペースでサーキットを走れてしまうのを見たり聞いたりしたことがあるでしょう。
そんな現象が起きてしまうのはなぜなのでしょうか。
と考えると、ひとつはライン取りが要因になっています。
もちろんパワーや速度域、旋回性能が異なる二輪と四輪ではライン取りも同じではありません。
しかし進入のアプローチからクリッピングポイントをどこに置くか、加速のタイミングなどの基本思想は同じ。
これを身体でマスターしているライダーなら、クルマに乗った際に目指すべきライン取りも比較的短時間でマスターできるのでしょう。
サーキットでは“あるある”なのですが、サーキット初心者は多くの場合コース幅をいっぱいに使った走り方ができないケースが多いようです。
コースの中央部分のみを走りがちで、コースの両サイドを余らせてしまうのです。
そのため、例えばアウトインアウトのライン取りができず、結果的にコーナーリング速度が上げられなくなります。
なかには一般道の癖が抜けずコースの左側に偏って走ってしまう初心者もいます。
コースをフルに使った走り方ができるかどうかが、サーキット初心者にとって初めに乗り越えるべきハードルなのだです。
これができるだけでも二輪でサーキットを経験しているライダーが、四輪でもある程度結果を残せるようになる理由になるのではないでしょうか。
「バイク乗りにろくなヤツはいない」とか「クルマはろくに周りを確認せずに車線変更してくるからしょーもない」とかで、ライダーvsドライバーの構図よくあるけどさ、結局ロクな運転しない人は、何に乗っても危ないよ。それがスーパーの買い物カートでも一緒。
— あいたた (@aitata_itata) August 4, 2020
クリッピングポイントを意識した走りで重要なのは視線の送り方
さらにサーキットでコーナーリングをより速くスムースに抜ける(曲がる)には、視線移動が非常に大切になります。
二輪は車体を大きく傾けてコーナーにアプローチするため視線の送り方が重要です。
そこで視線を持って行く先はコーナーの出口方向がセオリーになります。
コーナー進入時にはクリッピングポイントあたりを目指しているのですが、コーナーに進入しながら徐々に視線を先に移していく必要があるのです。
しかし初心者にありがちなNG例が、進入時に見ていたクリップ付近のゼブラ(縁石)を見続けてしまうこと。
これだと視線が近すぎてアクセルを早開けできず、いつまでもパーシャル(ハーフスロットル)で走り続けることになりかねません。
早めに先へ先へと視線を移動させて行くことが速く走るコツのひとつなのです。
また視線を送る方向にバイクが向かうというのはある意味真実でしょう。
コースアウトしそうになって、うっかりアウト側のグラベルを見てしまうと、そこに吸い込まれるようにコースから飛び出してしまうことがあります。
こんなときには頑張ってコースのイン側をガン見して我慢することで、コースアウトを免れたという経験を持つライダーも少なくありません。
またブラインドコーナーでもその先を意識して、実際には見えていないコーナー出口をイメージしながら視線を送ることになるので、視線をどこに持っていくかを意識した練習は初心者だとかなり効果的。
もちろん、これは四輪でも同じことが言えます。
コーナーリング中の視線はアクセル操作やハンドル操作に大きく影響するので、結果的にラップタイムに反映されるのです。
こんな基本項目がきっちり身体に染みついている二輪ライダーなら、四輪に乗り替えてもスムースにサーキットを走らせることができるでしょう。
凄い良い人だな
自分はまだ高校生だけど大学とか就職してお金ないからって適当なクルマ買うのは嫌だから貯めて好きなものを買うつもり 好きな車買えないから適当な車乗るんじゃなくて好きなバイクに乗っていずれは車も買おうと思ったそしてバイク乗りになった バイクもクルマも最高だぜ! https://t.co/OYPRs0porP— オリハルポンは砕けない (@hyuu126) February 4, 2019
自分の身を守る危険回避テクニックも二輪のライディングが参考になる
さらに危険回避の能力も二輪の走行で培うものは多い。
二輪は他車との接触が即転倒に直結するので、かなり神経質になります。
自分より速いバイクが後ろから近づいてきた場合は、どの位置にいるのか、どっちから抜きにかかるのかなど、背後からの音や気配(大きく回り込んだヘアピンコーナーなどでは後続が早めに確認でき、またコーナリング中に視界の隅で後続車の片鱗を捉えることもある)で感じとっているのです。
これができていれば不用意な接触は避けられるし、安全に走行できることは多くのライダーは体感的に知っています。
この危険回避の鍛錬は、四輪でも、さらには一般道でも役に立つこと。
漫然とクルマを運転しているだけではなく、バックミラーで他車の存在を小まめに確認しながら周囲の様子を把握し、スムースなドライブができるようになることで、安全運転につながるのです(サーキットだけではなく、一般道や高速道路でも同じ)。
このように二輪のテクニックが、どこかで四輪の操縦にも役立っているケースがあるのは事実だと言えます。
極限の状態で挙動や操作を実践するモータースポーツの世界なら、それはなおさらです。
二輪のライディングから学ぶことで四輪のドライビングテクニックや安全運転に寄与する部分は必ずあると言えます。
とくに二輪も四輪もどちらにも乗る方なら、積極的に参考にしていくといいでしょう。
久々にバイクの人になる。クルマに乗ってたんでは絶対使わないような筋肉やら神経やらが動き出すのを感じる。視覚と同時に皮膚感覚も拡大していく。バイク乗りの感覚、大事にしたいが、これが感じられなくなったら、降りる時。
— masaki T (@slidecatman) October 14, 2013
ネットの声
「2輪経験者が4輪に乗る際の変化点は転倒という恐怖がほぼ無いことでしょう。2輪ライダーはタイヤの「接地感」をレベルの差はあれ無意識のうちに習得してる。そう、加速時も減速時もコーナリング時もバランスを取りながらタイヤの接地感を感じ取っている。それができなければ即転倒につながるから。しかも風が直接当たる分体感速度は速い。2輪ライダーは全身を使い、感覚を研ぎ澄ましながら操作しているので4輪に乗ると2輪で起こる転倒の恐怖心又は緊張が薄まり精神的、身体的余裕があるので考える時間、操作出来る余裕が生まれるのではないでしょうか。」
「二輪のライディングが速いヤツはスキーも上手い。体重移動のコツが似ているので初心者でも上達が早い印象があるね。モトクロス経験者はスキーモーグルの上達が早いしエアも怖くない感じだよ。」
「本当にその通りだと思う。今のドライバーの能力不足が交通トラブルを招く一因かと思う。」
「基本からキチンとやってるバイク経験者だと、アクセルをオンで曲がるオフで曲がるパーシャルで曲がるを身に付けてる。四輪でも役に立つね。」