頻尿、頭痛、微熱、倦怠感…がんのサインに気をつけて

頻尿、頭痛、微熱、倦怠感… 命にかかわる「がんのサイン」の可能性も

日本人の死因第1位であるがん。

「痛みを感じた時にはすでに手遅れ」とも言われていますが、早期に見分けられるサインはあるのでしょうか。

2014年にステージ4の膀胱がんと診断された元プロボクサーの竹原慎二(49)が振り返ります。

頻尿が血尿に

「最初に感じた異変は“頻尿”でした。もともとトイレは近いほうですが、ある日突然、用を足して10~20分で尿意を感じるようになりました。トイレに行った後も膀胱の周辺がむずむずして、明らかにおかしな残尿感を感じました」

発症者の75%以上を男性が占める膀胱がん。

「比較的初期に“痛みのない血尿”が現われやすい」と指摘するのは、川崎医科大学附属病院の永井敦院長だ。

「膀胱がんの初期には膀胱の粘膜の毛細血管が切れて、血尿が出るケースが多い。その後、がんの進行具合により、頻尿を訴えるようになります。頻尿で来院した患者に膀胱がんが見つかり、『そういえば、1年ほど前に血尿が出ました』と思い出すケースも少なくありません」

喉頭がんの初期症状は

のど仏や声帯の喉頭がんも比較的初期に症状が現われます。

特徴的なのは「声の不調」。

新潟医療福祉大学リハビリテーション学部教授の佐藤克郎医師が解説します。

「喉頭がんが声帯に発生した場合、初期から声がかすれる『嗄声』の症状が出やすい。急にガラガラ声になり、それが続くようなら注意が必要です」

ガラガラ声は、さまざまながんのサインとしても現われます。

「喉頭に隣接する部位の下咽頭がんでも同様の症状が見られます。また、肺がんは初期の症状が現われにくいのですが、声帯を動かす神経(反回神経)が胸部を通るため、腫瘍の影響で声帯が麻痺して、声がかすれることもあります。
いずれにせよ、これらは喫煙が共通したリスクファクターであり、喫煙者がガラガラ声になってなかなか治らない場合は早めに医師に相談しましょう」(佐藤医師)

脳腫瘍は起床時の頭痛に注意

一方、脳腫瘍の場合は腫瘍ができる部位により、身体のさまざまな部位に症状が現われます。

菅原脳神経外科クリニックの菅原道仁理事長が語ります。

「平衡感覚を司る小脳に腫瘍ができると、20分以上持続するめまいや立っていられないほどのふらつきが起きやすい。その他、下垂体にできると視野の外側が欠けるといった症状があります。また、腫瘍が神経を障害することで、手足が動かしにくい(運動神経線維)、言葉が出にくい(言語中枢)などの症状が出た場合も脳腫瘍の疑いがあります。
共通して注意したいのは、“朝方の頭痛”です。腫瘍によって頭蓋骨の内側の圧力が高まることで頭痛が生じるのですが、圧力は睡眠中に高まります。起床時に頭痛が生じるなら注意しましょう」

耳鳴りや物が二重に見えるという症状が、実は咽頭がんだった、肩や二の腕の痛みの原因が肺がんだったなど、がんの部位から離れた場所に不具合が出ることもあります。

こちらの図も参考にして、違和感がある場合は医師に相談しましょう。

「沈黙の臓器」の初期症状

初期症状が現われにくく、「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓、すい臓、腎臓のがんはどうでしょうか。

医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広医師が指摘します。

「3つの臓器とも、がんが発生しても初期に自覚症状がなく、たまたま検査で見つかるケースが多い。たとえば腎臓がんの場合、尿検査をした際にごくわずかの血液が混じっていることで判明する場合もあります。ただし、人によっては尿が泡立つ、脇腹に痛みを感じる、原因不明の発熱が続くといった症状が出るケースも見られます」

2006年に腎臓がんが発覚した、元プロレスラーの小橋建太さん(54)が当時を振り返ります。

「今にして思えば、36度7分ほどの微熱が続き、何となく倦怠感がありました。血尿はなかったのですが、濃いオレンジ色っぽい尿は出ていました」

腎臓がんは進行すると、血尿、背中や腰の痛みなど、直接的な自覚症状が現われます。

肝臓がん、すい臓がんも同様だが、痛みなどの自覚症状が見られた時には手遅れになりかねません。

「だからこそ、健康診断で異常があれば精密検査を受けたい」と、上医師。

いかに早く異変に気付けるかが重要になります。



おすすめの記事