52ヘルツのクジラたち 町田そのこ著 中央公論新社

ずっと忘れられない物語になる『52ヘルツのクジラたち』

家族から、そして大切な人達からも逃げるようにして海に近い港町に引っ越してきた女性・貴瑚が、ボロボロに破れた衣服をまとった少年と出会うところから物語は始まります。

この物語は耳を澄ましても届くことの叶わない、悲痛な声に溢れています。

それは目を背けて本を閉じてしまいたくなるくらいに辛い読書体験です。

しかし、その綴られてきた幾つもの滂沱の涙は、どこまでも果てしなく続く広大な海に繋がり、渇いた涙の跡を大いなる愛で充たしてくれるのです。

「搾取子、虐待など重いものを扱っています。でも優しい描写があったり読みやすい文章であったりするので、読み進めることができます。
後半からラストにかけての展開がとても好きです。何度も涙が滲みました。いい作家さんだと思います。」

「どれだけ助けを求めても誰にも届かない52ヘルツの声。
全てに絶望した主人公は、孤独の世界で声を持たない少年と出会う。2人はこれまでいくら叫んでも届かなかった声を通わすことができた。
声にならない叫びが誰かに届いたとき魂の再生が始まる。
世間からはじき出された孤独な人にも、ちゃんと耳を傾けて声を聴いてくれる人がいる。
この本で人と交わる難しさ、それを乗り越えた時に生まれる歓びに触れることができた。
今も虐待やネグレクトで苦しみ、助けを待っている子供たちがたくさんいるのだろう。
どうか、その声が誰かに届きますように。」


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