アリ語で寝言を言いました 村上貴弘(著)  扶桑社 (2020/7/2)

著者の尋常でないアリへの愛が溢れに溢れた、笑いあり涙ありそして驚きありの内容です。

ヒアリのニュースで知ったという人も少なくないでしょう。

専門はアリ類の行動生態学・社会生物学。

表紙にもなったハキリアリを中心に研究をしています。

著者が目指しているのは、「アリと会話をすること」なのだそうです。

突拍子もないものに思えますが、できそうな気がするから不思議です。

本書ではハキリアリだけでなく、様々なアリの不思議な生態が書かれています。

思わず考えさせられるアリの社会のしくみなどなどについて、

専門的でユーモアたっぷりな説明を村上先生独自の語り口で展開していきます。

世界を飛び回るアリ研究者としてインパクトのありすぎるエピソードも興味深く、読み応え満点。

著者のアリあまる愛が詰まりに詰まった一冊。

読後は足元をせっせと歩くアリの見方が変わるのは間違いありません。

「とんでもなく面白い本に出会えた!

利他的で社会性の高い生物のアリ。
そのアリについて様々なことが描かれる。

頭で巣穴に蓋をするアリ。幼虫のつくる繭用の糸を失敬して巣をつなぎ合わせるアリ。自爆して仲間を守るアリ。体に蜜を溜め続けるアリ。近縁でも他のコロニーのアリをみると死ぬまで戦い続けるアリの種がいるかと思えば、一方の種は会ってすぐにグルーミングを始めたり。

出てくる多様なアリに驚きの連続とともに
いかに何も知らないかという自分にもあらためて驚く。

アリの世界はかくも不思議なワンダーランドとは…。

「役に立つ研究」が重要視される昨今、
「役に立たない研究」を行う者には風当たりが強い。

しかし本書を読んで面白いと思える人は、ロマンや知的興奮を基礎研究のなかに感じているひとだ。追体験として本書から研究の楽しさを味わっていると思われる。

どうか社会が「すぐには役に立たない研究」を進めることに賛同と羨望を感じられるようになってくれることを切に願う。

兎にも角にも非常に面白い素晴らしい本です。」


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