盤上の向日葵 柚月裕子(著) 中央公論新社 (2020/9/24)

2018年本屋大賞2位!

著者渾身の慟哭のミステリー、ついに文庫化!

平成六年、夏。埼玉県の山中で白骨死体が発見された。

遺留品は、名匠の将棋駒。叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ棋士を志した新米刑事の佐野は、駒の足取りを追って日本各地に飛ぶ。

折しも将棋界では、実業界から転身した異端の天才棋士・上条桂介が、世紀の一戦に挑もうとしていた――

「孤狼の血」で度肝を抜かれて以来の柚月裕子。題材は将棋らしいし、何より羽生善治解説と言うのを見て、読むしかあるまいと、書店で購入した。
上巻だけの感想だが、羽生善治がモデルと思われる天才棋士に、挑戦する上条桂介が村山聖に思えてならなかった。そして比較の対象ではないと思いながら、ノンフィクションの名作「聖の青春」を思い出してしまう。当然だが、上条桂介の生き様が丁寧に描かれても、リアリティでは敵う筈がなく、所詮フィクションだよな、と思ってしまったのが正直な感想である。実業界から転身して、タイトルを争うような一流棋士になる、と言うのも今の時代にあり得ないし、とやや意地悪に思ってしまった。
偏屈だが腕は立つ先輩刑事に振り回される新米刑事、と言うのは「孤狼の血」と同じパターンで、作者得意の手法なんだろうと推察。丁寧に捜査の様子が描かれて、十分納得しながら読んだ。
余計な事を考えたので、あえて最高評価としないが、下巻で最高評価になるだろうと、期待している。本当に丁寧な描写でグイグイと引き込まれる、エンタメ作品だった。」

「この作家の作品だから、期待して読み始めたが、見事なプロット、文章のうまさ、清長の、砂の器を、彷彿させる。面白い作品に、あがっている。」

「久々に睡眠時間を削っての一気読み。
柚月裕子作品は、傑作「孤狼の血」で度肝を抜かれて以降、「凶犬の眼」「暴虎の牙」「慈雨」と読んでき、いずれも読者を惹きつけて離さない技量の高さを感じましたが、本作では、ここ最近の将棋ブームもあって、俄然興味が高まる題材と、期待を裏切らない物語の面白さに、やっぱり柚月裕子、巧いなあと感心しきりです。」


(クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

 

おすすめの記事