武器としてのヒップホップ ダースレイダー (著) 幻冬舎 (2021/12/8) 1,540円

ヒップホップは逆転現象だ。病、貧困、劣等感……。パワーの絶対値だけを力に変える!

自らも脳梗塞、余命5年の宣告をヒップホップによって救われた、博学の現役ラッパーが鮮やかに紐解く、その哲学、使い道。

DJのように過去と現在をつなげ、MCのように混沌を乗りこなせ、スクラッチは自分だけが世界に刻む新しい音だ!

1973年のアメリカの手作りパーティから始まったヒップホップは、今、世界でもっとも聞かれる音楽ジャンルだ。

ヒップホップは、常に前提を問う。

お前は誰だ?

お前は今どこにいるんだ?

どこから来たのか? どこへ行くのか?

繰り返されるこれらの問いが世界の流れを知覚させる。

「The MC」「Break 」「 Beat」「Loop」……28のヒップホップ用語を軸に、逆境の乗り越え方、隙間をつく思考法、日常の目の付け所など、ヒップホップの精神とともに、閉じ行く社会のなかで、瓦礫をかき潜る生き方を伝授する。

構造の外に出ろ!
それしか選択肢がないと思うから構造が続く。
ならば別の選択肢を思い付け。
「言葉を演奏する」という途方もない選択肢に気付いたヒップホップは「外の選択肢」を示し続ける。
まさに社会のハッキング。
現役ラッパーがアジテートする!
――宮台真司(社会学者)

混乱こそ当たり前の世の中で「お前は誰だ?」に答えるために”新しい動き”を身につける。
――植本一子(写真家)

あるものを使い倒せ。
楽器がないなら武器を取れ。進歩と踊る足を止めない為に。
イズムの<差異>より、同じ世界の<裏表>を繋ぐリズムを感じろ。
――荘子it (Dos Monos)

この本を読み、全ては表裏一体だと気付いた私は向かう”確かな未知へ”。
――なみちえ(ラッパー)

ヒップホップの教科書はいっぱいある。
でもヒップホップ精神(スピリット)の教科書はこの一冊でいい。
――都築響一(編集者)

「ヒップホップを介して巡らされる思索。

「そもそも世界とはどうなっているのか? この疑問を巡り人類の哲学は発展してきた。この本ではヒップホップを通じて、その一端を捉えることを試みている。世界とはFlow(流れ)であり、そこにBeat(リズム)という楔を打ち込む。そのBeatがDJによりLoopされて(繰り返されて)いくことで運ばれる先へと感覚が開かれていく。僕はラッパーとしてそこに言葉を乗せる。」(本書3ページ)
冒頭の「はじめに」の一節を引いたが、まさにヒップホップを通じて世界を捉えようとしたのが本書。ただのヒップホップ紹介本などではない。何より、パンチラインが満載。著者が強調したい文章は太字にされているが、そのような文章以外でも印象に残るフレーズが次から次へと繰り出されてくる(ただし、本書中では「パンチライン」という用語は使用されていない)。

ヒップホップの歴史をはじめとして情報量も多く、内容は全編で濃密である。それでも、最後まで読者の読む手を止めさせない。ヒップホップに関する著作ということを越えて、多くの人に読まれるべき間違いなくの快著。」


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