認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、それでも消せない “秘密の絆” があった――
八十六年の人生を遡る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実。
日本推理作家協会賞 『愚者の毒』 を超える、魂の戦慄。
過去の断片が、まあさんを苦しめている。
それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。
彼女の心のつかえを取り除いてあげたい――
『羊は安らかに草を食み』宇佐美まことさん 祥伝社 #読了
綺麗な表紙♡
86歳・80歳・77歳 仲良しの老婆
人生最後の旅ただ生きる、生き抜くこと
それだけが全てだった異国での少女時代
女としての人生コロナ禍の今の不自由さすら幸せに思えてしまいました#読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/uIrnQHClzT
— Rui⭐️Aihara🏰 (@blackcat3swan) February 9, 2021
アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅” に連れ出すことにした。
それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。
大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。彼女が隠しつづけてきた秘密とは。
旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転する――。
「新作が刊行されるたびに、いの一番で予約購入し、届いたらすぐに読み始め、そして、毎回期待を裏切らない――という数少ない作家さんの一人です。とりわけ今作のように、謎をある人物の過去へ埋め込み、それが少しずつ解明されていくというプロットは、白眉。いくつかの俳句をキーワードに、少しずつ解明されていく過去は、読み手の胸の底に重い哀愁を積んでいく。さらに、クライマックスの謎解きがもたらすのは、魂の震えと表現しても大仰ではありません。今回も、おみごと。」
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