二人の嘘 一雫ライオン (著) 幻冬舎 (2021/6/23)

「十年に一人の逸材」と言われる女性判事と、哀しき偽証で真実を隠し通した元服役囚。

恋で終われば、この悲劇は起きなかった。

これほどの純愛を、人は醜聞という…。

「–まさか、誰かをかばっている? 」

男が法廷で隠し通した哀しい真実とは。

女性判事・片陵礼子のキャリアには、微塵の汚点もなかった。

最高裁判事になることが確実視されてもいた。

そんな礼子は、ある男のことが気になって仕方ない。

かつて彼女が懲役刑に処した元服役囚。

近頃、裁判所の前に佇んでいるのだという。

判決への不服申し立てなのか? 過去の公判資料を見返した礼子は、ある違和感を覚えて男のことを調べ始める。

それによって二人の運命が思わぬ形で交わることになるとも知らずに……。

「久々に読み応えのある作品に出逢いました。礼子は弁護士になるしか無いけど、新たな活躍が期待できるでしょうか。あまりに重いので、連作化はむつかしいかも。それだけに期待も大きい。今年度の収穫のひとつだと思います。」

「ちょっとばかし懐かしさ感じる話の流れなんだけど、女性の立場や旦那の感じが上手く現代版になってる。ここまで立場が違うのに好きになるとかある?とも思ったけど、この男性なら仕方ないか。これ映画化にならないかな?切なくて悲しくて美しい。」

「優秀な女性判事が自分が判決を下した元服役囚と出会い、心が揺さぶられていく様を描く。判事としての仕事ぶりから一転して恋愛ベースでの心情変化には唐突感が強い。一応家庭とか旦那とかの伏線はあるが、これがありきたりで判事にも服役囚にも心が動かされない。元服役囚の動機も行動も予想を超えない。これならいっそのこともっと二人を破壊的に描いていけばまだ読み応えあるが、後半も中途半端で終わってしまう。孤独を埋める2人しては、よくあるメロドラマ的に感じてその先を期待したかった。」


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