生贄探し 中野信子(著)、ヤマザキマリ(著) 講談社 (2021/4/22)

「なぜ、誰かが得すると自分は損した気になるの?」

Go Toトラベルも、社会全体の経済をよくするためが、「あの人だけ、いい思いをするなんて許せない!」とモヤっとした人は少なくありませんでした。

そんな負の感情が連鎖しやすい傾向こそ、日本人の脳の特徴だったのです。

一方、「日本人は親切だ」「日本人は礼儀正しい」「日本人は真面目だ」「日本人は協調性がある」──こうした日本人への褒め言葉をよく耳にします。

でも実は、日本人はよその国の人よりいじわる行動をすると判明。自分が損をしてでも相手に得させない行為をする日本人。

パンデミックでは、コロナ禍で奮闘する医療者までも生贄探しの対象になりました。

むき出しになった正義中毒に誰もが「他人の目が怖くて」自粛。巣ごもりで毒親に悩むケースも目立ちました。

自他ともに生きにくさを増すこの時代、脳科学者の中野信子さんと、時代も国も越えた体験を描く漫画家・随筆家のヤマザキマリさんが鋭く分析。

パンデミックの経験を無駄にせず、心豊かに生きる方法が得られます。

著者について
中野 信子
なかの・のぶこ─1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに、人間社会に生じる事象を科学の視点をとおして明快に解説し、多くの支持を得ている。現在、東日本国際大学特任教授、京都芸術大学客員教授。著書に『サイコパス』(文春新書)、『空気を読む脳』(講談社+α新書)など。

ヤマザキ マリ
やまざき・まり─1967年、東京都生まれ。漫画家・随筆家。東京造形大学客員教授。1984年にイタリアに渡り、国立フィレンツェ・アカデミア美術学院で美術史・油絵を専攻。2010年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞受賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。平成27年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。2017年イタリア共和国星勲章コメンダトーレ受章。著書に『プリニウス 』(とり・みき氏との共著、新潮社)、『たちどまって考える』(中公新書ラクレ)など。

「「魔女狩り」から始まり「皇帝ネロ」から「空海」まで、興味をそそるキャッチーな目次がおどっているのですが、根底に流れるのは他人と自分を比較する人間(特に日本人)という生き物の性を捉えているように感じました。」

「「脳は人と比べないと幸せを感じない」という特質が重要です。実感としてこれが幸不幸を分けるポイントではないかと思いました。収入が増えたときは満足でも、生活水準が上がってもっと良い生活にあこがれるようになったら、その収入増の満足感は長く続かないでしょう。脳が人と比べてしまうのは仕方ないとして、満足の対象を変えればいいのだということが、中野さんとヤマザキさんの対談や、最終章のヤマザキさんのパートでわかりました。」

「お二人のかけあいが気持ちいい読み心地です。当然ですが、お二人とも、ただ人の行動、心理の悪を羅列してるわけではないです。お二人の凄さは、人の美(美徳)にひそむ醜、人の醜さにもひそむ美(美徳)を見出し、問題解決を探れるところだと思います。」


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