鎮魂と告発のノンフィクション
1888年ロンドン。5人の女性たちが2か月のあいだに殺された。
この「切り裂きジャック」と呼ばれる殺人鬼がいまなお人びとの関心をひく一方で、被害者の5人の女性たちにはこれまで130年以上ものあいだ一筋の光もあてられてこなかった。
家庭内における暴力、社会的な差別、そして貧困や病から助かることのできない構造。
『切り裂きジャックに殺されたのは誰か』の序文を読んだだけで、この本がこれまでの論議を根底から覆す書だというのがすごくわかる。被害者に人間としての尊厳を返すためにこれを書いたという、これだけで胸にぐさぐさ来たよ。 pic.twitter.com/zTtIqaozN4
— 篠田真由美 (@MayumiShinoda11) September 25, 2022
5人の女性たちのこれまで誰もひもとこうともしなかった人生を1頁ずつ丁寧にめくるとき、不合理に満ちた過酷な社会状況のなかで生きた彼女たちの姿が浮かび上がる。
連続殺人事件の被害者の人生をよみがえらせ、社会の暴力をつまびらかにする、気鋭による鬼気迫るノンフィクション。
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