死にたかった発達障がい児の僕が自己変革できた理由 西川幹之佑 (著) 時事通信社 (2022/2/8) 1,760円

麹町中学校で工藤勇一先生から学んだこと

これは現代の「ヘレン・ケラー物語」だ!

4代続けて東大卒という超名門の家柄に生まれたのに、ADHDにASD傾向、学習障がいという3重苦で、幼稚園すら二時間で中退させられた著者。

小学2年生までは特別支援学級に通うも「赤ちゃん扱い」になじめず、強く希望して通常学級に転籍。

しかし、周囲とトラブルを起こし、テストで点がとれないとパニックになっては教室を飛び出す毎日を送り、やがて「死にたい」という衝動にとらわれるようになる。

そんな著者が変わったきっかっけは、千代田区立?町中学校に入学し、大胆な学校改革を実践していた校長の工藤勇一氏(ベストセラー『学校の当り前をやめた。』の著者)に出会ったことだった。

「3重苦」だったヘレン・ケラーは、サリバン先生に出会って「Water」という言葉を手のひらに書いて教わるまで、暗闇の世界で生きていた。

著者は、その気持ちが分かる気がすると言う。

混沌とし、恐怖そのものだったこの世界。

それが、麹町中学校でもがき苦しみながら世界の輪郭をつかみ、卒業後も工藤氏から学んだことをもとに試行錯誤を続け、少しずつ自分にあう生き方をつかんできたのだと話す。

ヘレン・ケラーを目覚めさせた「Water」という言葉は、著者にとっては「自律」という言葉だった。

工藤氏の教育目標は「自律した生徒を社会に送り出す」ことだ。

「自律」「尊重」「創造」を掲げ、社会を生きる当事者意識をもつ生徒を育てるという工藤氏のもとで様々な学びを経験するうちに、著者は親や名門家系に対する劣等感、周囲に対する憎しみから解放され、「自律」して生きる大人になるために、「自己変革」に挑むようになる。

中学卒業までに英検準2級とニュース検定2級などを取得。高校は英国に留学し、現在は時折トラブルを抱えながらも落ち着いて対処しつつ、人並の自己肯定感とともに、前向きに生きている。

人生は誰か他人から与えられたり押し付けられたりするものではなく、自分の選択と行動でつくりあげるもの。

どんなにダメな自分でも、自分の取扱説明書を自分の力でつくりあげることが可能。

どうしようもないほどダメな「不良品」を自認する著者が、地を這うようにしてたどり着いた希望の境地とは?

今現在、死にたいと悩み苦しんでいる発達障がい児の役に立てればと願い、その悪戦苦闘の日々のすべてを明らかにする。

【西川 幹之佑】(にしかわ みきのすけ)
2002年、新潟県三条市生まれ、東京育ち。幼稚園中退。千代田区立麹町中学校、英国・帝京ロンドン学園卒。現在、帝京大学法学部政治学科1年生。高祖父は帝大の教授で測機舎の創業者である西川末三、高祖母はロシア文学の翻訳と社会運動家として有名な神川松子。高祖父から4代続けて東大卒の家系に生まれ、周囲から東大入学が当然と期待されるもADHDとASD傾向、学習障がいのため小学校2年生まで特別支援学級に在籍。その後通常学級に転籍したものの学習面・社会面で壁にぶつかり、生きる意義を見失い小学校3年生で死を考えはじめる。小学校卒業後、当時麹町中学校校長であった工藤勇一氏に出会い、「自律」という考え方を学び人生が一変する。在学中に英検準2級、ニュース検定2級を取得。コロナ禍で将来について考えるうちに、自分のように苦しむ発達障がい児の役に立てることがあると考え、本書の執筆を企図した

「私たちは人生の壁にぶつかった時、似た境遇を乗り越えた人がどう考えたか、どう行動したか知りたくなります。でも、発達特性があることに悩む10代、20代が具体的な希望を求めて手に取れる書籍には初めて出会いました。一方で誰が読んでも胸に刺さる部分、ハウツーとして参考にしたい内容も含まれ、読み終える前から滅多にしないレビューを書きたくなる気持ちにさせられました。「おみやげ」がたくさんある本だと思います。この本を世に出してくださってありがとうございます。」

「ちょっと衝撃的なタイトルですが、筆者の実体験に基づくものだから納得です。幼児期から小学生時代までのエピソードは胸が詰まるけれど、その後の素晴らしい先生との出会いでどんどん自己変革が進み、未来が拓けていく過程に引き込まれ、一気に読めました。同じ苦しみを抱えている中高生当事者と親御さんが読めば、勇気をもらえるでしょう!」

「発達特性ありなし関係なく、とても参考になる本です。学生から、子供を持つ親みなさんにおすすめです。作者の人のためになりたい気持ちがストレートに伝わり、勢いのある内容で一気に引き込まれました。工藤勇一先生の話をヒントに具体的に壁を乗り越える方法が書いてありわかりやすいです。ユーモアもあり、これからの人生も頑張ろうと思えました!」


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