気がつけば○○シリーズ第2弾は「認知症介護」の世界!
30代推し活ヲトメが「2040年問題」と対峙する!!
きっかけは、認知症介護のグループホームの職員たちが、祖父を看取ってくれたことだった。
オタク歴20年、社会人歴10年。
「推し=人生」と豪語する推し活ヲトメが、
「認知症介護」の世界に迷い込む……。
入職初日にキノコさん(施設利用者)から手渡しでプレゼントされたものは、ゴルフボール大の便=U・N・CHIだった――――!!!!!!!!
昭和一桁生まれのガンコジジイによる軍歌リサイタルで耳に異変、90歳ハイソレディからの強烈ビンタ、「易怒性(いどせい)」強めな激おこ淑女からの口内食物噴射、80代のおじいちゃんの口説き文句で乙女心強奪、病院内で「売春婦!梅毒!」と叫びまくるおばあちゃん、よりによってお餅を差し入れしてくる迷惑家族、老人同士の殴り合い!リアルファイトクラブ勃発、圧しツヨ上司からの秘儀「労災封じ」、センサーと身体拘束と虐待問題、労働基準監督署に駆け込むと脅すハラスメントなモンスター新人、深夜のお看取り一部始終、夜勤明けの缶ビールと汁なし担々麺、食べられなくなっていく利用者と食べることが大好きな自分の狭間で感じたこと、優しく支えてくれた利用者さんとの別れ……etc.
夜勤中に起きた大事件!
「バカ女、殺す」「包丁で首切って殺す」「殺す!」
まさに介護の現場は命がけ!?
認知症介護の世界でよくいわれる「その人に合った介護を提供できていない」とはどういうことなのか?
〝超〟が付くほど真面目で感情移入しがちな性分の著者は、バラエティーが豊かすぎる施設の面々との戦いの日々に身も心もズタボロに……。
とはいえ、どんなに辛くとも、推し(乙女ゲーのキャラクター)は私に「愛している」と言ってくれる……。
だから大丈夫。家に帰れば、いくらでも彼に会える……そうやって自分を鼓舞し続ける日々が、少しずつ彼女の意識を変えていく――。
「いつでも辞めたい、でもなんだかんだそこそこ楽しい」
「人生のラストステージを任される仕事」
「毎日がラスボス戦(だから経験値もいーっぱいもらえるよ)」
各メディアでも取り上げられることが多くなってきている認知症介護の現場を、批判でも暴露でもなく、人生の先輩たちへのリスペクトと愛をもって丁寧に綴りきった、まさに〝笑いあり涙あり〟の人間ドラマノンフィクション!
コミュ障で奥手だった著者が、認知症介護と向き合うことで、〝図々しさ〟に近い生きる力を身につけていく……。
この現象を「沼(ゲームやアニメなどの作品にどっぷり〝ハマって〟しまう様子)」と呼ばずして何と呼ぶ!?
ドラッグロック、ボディチェック、経腸栄養剤、ムース食、陰洗ボトル、尿取りパット、リハビリパンツ、下顎呼吸……etc.認知症介護業界の専門用語もしっかり解説しています。
今夜も気がつけば認知症介護の沼にいた。 pic.twitter.com/ISxUu5MpeJ
— 古書みつけ[日替わり店主古本屋ときどき出版社] (@kosho_mitsuke) November 28, 2023
「認知症患者専門の老人介護施設(グループホーム)で働く著者が、その仕事を始めてから現在までの出来事を綴るノンフィクション・エッセイである。
初の著書とは思えないほど文章がこなれていて、読ませる。平明かつ軽妙で、文章に心地よいリズムがある。
登場するエピソードの多くは、傍目には過酷でシンドいものであり、「大変な仕事だなァ」と改めて思う。まさにエッセンシャルワーカー。私にはとてもできない。
本書のエピソード素材を用いて、社会派調・問題提起調・告発調のシリアスな本にしようと思えばできただろう。だが、著者はそうせず、淡い笑いをちりばめた楽しい読み物に仕上げている。
楽しく読み進めるうち、認知症介護の仕事のあらましが学べる。
この仕事をこれからやってみたいと思う人には、格好の入門書になるだろう。また、それ以外の読者にも、認知症介護の現実を知らしめる啓蒙書として役立つ。私自身も、本書で初めて知ったことがたくさんある。
たとえば、「身体拘束」というのは文字通り入所者の体を物理的に拘束すること(ベッドに縛りつけるなど)だけを指すのだと、私は思っていた。それだけではなく、“言葉による身体拘束”などもあるのだと知った。
《急いでいるときについ言ってしまいがちな、「ちょっと待っててくださいね」が、実は「スピーチロック」という身体拘束なのである。
「〇分後に来る」など、「いつ来るか」を伝えた上で待っていてもらうのならば、問題ない》104ページなるほどなるほど。もちろん介護業界では常識なのだろうが、門外漢にはこのような何気ない一節も新鮮である。
また、一般人であっても、認知症の人と接するときに知っておいたほうがよいことだろう。そのような知識が、本書の随所にある。」
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