10歳からの考える力が育つ20の物語 石原健次 (著), 矢部太郎 (イラスト) アスコム (2021/10/23) 1,430円

正義の反対は、なんだろう?

人気放送作家の石原健次さんがストーリーを書き、『大家さんと僕』を描いた矢部太郎さんが挿絵を担当するこのちょっと変わった物語は、そんなテーマの本です。

誰もが自分を正義と信じて、相手を悪だと決めつける。
だとすれば、「正義の反対は悪」ではなく、「正義の反対は、正義」かもしれない。
とりわけ現代では、その視点が必要なのではないでしょうか。

この本では、童話探偵ブルースと秘書シナモンが、世界の名作童話を「これまでとはちがう視点」で読み解いていきます。

たとえばこんなふうに。
『3匹の子ブタ』を読むときに、オオカミの気持ちを考えてみよう。
『裸の王様』が見えない服を見えると言ったのは、本当に「バカだと思われたくない」と考えたからだけなのだろうか?
『鶴の恩返し』でおじいさんとおばあさんが部屋をのぞいたのは、鶴を思うやさしさだったからかもしれない。

各話の最後に用意されたブルースの読み解きに、「へぇ?」「そうだったんだ! 」と納得したり、おどろいたりしているうちに、自然と「物事をさまざまな角度から見る力」が育っていきます。

物事をさまざまな角度から見る力。
それって、こういうことです!

● いろんな考え方を理解できるようになる!
● 興味の幅がどんどんひろがる!
● 想像力がぐんぐんのびる!
● 思いやりの心が芽生える!
● つらいことや悲しいことを乗り越えられる!
● 読解力が高まる!
● 自分で考えて答えを見つけられるようになる!

つまり・・・これからの世の中を生きる力が身につく!
のです。

この本は「10歳から」のお子様におすすめです。
学校の授業の難易度が上がり、抽象的な思考を学びはじめる10歳(小学校4年生)という年齢は、この本を読みはじめるのにぴったり。

もちろん、小学校高学年や中学生、あるいは大人でも十分に楽しめます。
むしろ考え方が固まってしまった大人にこそ、この本の「ちょっとちがう読み解き」が役に立つかも!

ひとつご注意を。
この本に書かれているのは、ふつうとは違う角度から考えるためのヒントです。
だから、ブルースの読み解きが正解だとは限りません。
大切なのは、自分の頭で考えて、自分だけの答えを見つけ出すこと。
この本は、そのきっかけになってくれます。

子どもと一緒に読んで、それぞれの読み解きを話し合ってもいいですね。
ブルースの悲しい過去や、シナモンの成長していく姿など、ストーリーの面白さもバツグンです!

目次―
第1話
アリとキリギリス
キリギリスは本当になまけ者だったのか??

第2話
ウサギとカメ
もしウサギが寝なかったらどうなった??

第3話
3匹の子ブタ
オオカミだって生きなきゃならない! ?

第4話
鳥と獣とコウモリ
なぜぼくたちはコウモリの悲しみを理解すべきなのか?

第5話
さるかに合戦
子ガニの復讐で悲しむのはだれ??

第6話
こぶとりじいさん
おどりが苦手なおじいさんに伝えたいこと?

第7話
裸の王様
王様でさえ逆らえないおそるべき力?

第8話
雪女
しあわせな時間を終わらせてしまう心のすき?

第9話
王様の耳はロバの耳
王様とみんながしあわせになる方法とは??

第10話
三年寝太郎
寝太郎に足りなかったたったひとつのこと?

第11話
3つの願い
君が手にするチャンスには種類がふたつある! ?

第12話
泣いた赤鬼
ウソをついてはいけない理由と友だちのつくり方?

第13話
北風と太陽
童話探偵ブルースの誕生と、心の落とし穴?

第14話
ごんぎつね
子ギツネごんはだれのために贈り物をしたのか?

第15話
ウサギどんとキツネどん
だから、敵をつくってはいけないのだ?

第16話
ハーメルンの笛吹き男
とても大切で、すごくむずかしいたったひとりの勇気?

第17話
鶴の恩返し
鶴との別れはまちがいなくハッピーエンドだ! ?

第18話
北風がくれたテーブルクロス
少年はンスが身につけるべきは問題解決能力?

第19話
ヒツジ飼いとオオカミ
オオカミ少年の悲しすぎるウソの理由?

第20話
梨売り仙人
去りゆくブルースが一番伝えたかった最後の読み解き?

著者について
作 石原健次
1969年生まれ。兵庫県神戸市出身。放送作家。元お笑いトリオ「インパクト」のメンバー。解散後に放送作家となり『アウト×デラックス』(フジテレビ)、『行列のできる法律相談所』『人生が変わる1分間の深イイ話』(ともに日本テレビ)など、数々の人気番組を手掛ける。第2回沖縄国際映画祭では脚本を書いた「クロサワ映画」が2つの賞を受賞。本の執筆は本書が初となる。

絵 矢部太郎
1977年生まれ。東京都東村山市出身。芸人・マンガ家。1997年に「カラテカ」を結成し、舞台やドラマ、映画で俳優としても活躍。初の著作『大家さんと僕』で第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。『大家さんと僕 これから』『ぼくのお父さん』(すべて新潮社)などの著作も持つ。週刊マンガ雑誌『モーニング』(講談社)で「楽屋のトナくん」を連載中(2021年10月現在)。

「石原健次さんの「10歳からの考える力が育つ20の物語」を読むと、優しい気持ちになります。カラテカの矢部太郎さんの挿絵もあたたかいです。
正義の反対は相手の正義。
お互いがこの一言を心に留めておくだけで、きっと今よりお互い優しく、相手を思いやれる気がします。
人生の教科書、これから何度も読み返したいと思う一冊です。」

「本好きな10才の子供用に購入しました。面白くてあっという間に読み終えました。文字も大きめなので本が苦手なお子さんにも読みやすいかも。
物語の主人公じゃない方の気持ちが書かれているので、多方面から物事を考える力を養ってくれると思います。」

「誰もが知っている童話などから話が展開していくので想像して理解しやすいです。
子供はこのような本が好きな子と興味がない子に分かれると思います。私のところは次男が熱心に読んでいました。
大人でも読めるので、大人が興味があり、子供にも読んで欲しいなぁ って感じなら買いだと思います。」


(↑クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

おすすめの記事