木皿食堂4 毎日がこれっきり 木皿泉 (著) 双葉社 (2021/3/17)

脚本家、そして小説家として、その世界に触れた者をたちまち虜にする夫婦ユニットの創作者、木皿泉。

何気ない夫婦のやり取りからこぼれ落ちるコトバは、日常に風穴を開け、そこに新たな色を流しこむ。

木皿ドラマ『野ブタ。をプロデュース』で連続ドラマ初主演を果たした亀梨和也(KAT-TUN)との対談も収録。

人気エッセイシリーズ第4弾!

エッセイ「嘘偽りなく生きてゆく場所」
ダンナと一緒に暮らし始めたとき、朝起きて、隣でまだ眠っている彼を見つけたとき、不思議な気持ちと嬉しさで、思わず「あ、おった!」と叫んでしまった。

会えなくなった人がいる。それでも無性に会いたいと思うのは、頭の中だけではどうしても処理しきれないものがあるからだろう。理屈だけでは、自分を納得させることができない何かだ。

会いたいというのは、その人が、「いる」ということを、ただ感じたいだけなのだ。私もあなたも、分け隔てなく、そう思ったり思われたりしている。

会いたいと思うのは、無事にいてほしいという、祈りみたいなものなのだろう。

(本文 「 いる 」 より)

亀梨和也(KAT-TUN)×木皿泉 対談「ぴったりの言葉なんて見つからない」
亀 梨 僕にとって何ものにも代えがたい財産だと思っているので。十代で木皿さんの作品に出ることができてよかったね、と業界の方々に言っていただくことも多いですし、僕自身、そう思います。木皿さんの書く深みのあるセリフを、若かったからこそ反射神経で口にすることができましたし。人生も演技もそれなりに経験を積んだ今なら、たぶん同じセリフでももうち ょっと深読みして、発するときにも意味をこめてしまうだろうなあと。

木 皿 わかります。つくりこんじゃいますよね、きっと。

亀 梨 〈人に嫌われるのってさ、怖いよな〉ってセリフも、身体の中で寝かせていない言葉というか、修二が感じたままの温度で出せたのがよかったんだろうなと。もちろん、当時も自分なりに解釈しようとしていたけど、大人になってから脚本を読み返してみると、こんなにもさらりと深みのある言葉が書かれていたのかと、より沁みるんですよね。

木 皿 嬉しいです。『野ブタ。』は私にとってもゴールデン二作目で、アイドルの方にあてて書くのも初めてという挑戦の多い作品だったので。しかも、私たちは夫婦で脚本を書いているんですが、前年に脳出血で倒れた夫の自宅介護が始まったばかりで、脚本もギリギリになってしまい……亀梨さんもまさか初主演であれほど過酷な現場になるとは思っていなかったですよね。


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