教育論の新常識-格差・学力・政策・未来 松岡亮二(著、編集) 中央公論新社 (2021/9/8) 1,056円

入試改革はどうなっているのか?

今後の鍵を握るデジタル化の功罪は?

いま注目の20のキーワード(GIGAスクール、子どもの貧困、ジェンダー、九月入学等)をわかりやすく解説。

編著者の松岡氏は、研究が「教育の実態を俯瞰的に捉えた数少ない正攻法」(出口治明氏)と評される、「2021年日本を動かす21人」(『文藝春秋』)のひとり。

ベストセラー『「学力」の経済学』の中室牧子氏、文部科学省の官僚ら総勢22名の英知を集結。

まえがき――まっとうな教育論のために
(松岡亮二・早稲田大学准教授)

I 教育格差
1【社会経済的地位(SES)】日本社会が直視してこなかった「教育格差」
(松岡亮二)
2【子どもの貧困】経済や福祉のみならず、なぜ教育の役割が欠かせないのか
(卯月由佳・国立教育政策研究所総括研究官)
3【デジタル化】ICT導入で格差拡大 日本の学校がアメリカ化する日
(多喜弘文・法政大学准教授)
4【ジェンダー】「性別」があふれる学校は変われるのか
(寺町晋哉・宮崎公立大学准教授)
5【国籍・日本語教育】多民族化・多文化化する社会に公教育はどう対応するか
(髙橋史子・東京大学特任講師)

II 「学力」と大学入試改革
6【国語教育】「論理国語」という問題:今何が問われているのか
(伊藤氏貴・明治大学教授)
7【英語入試改革】ぺらぺら信仰がしゃべれない日本人を作る
(阿部公彦・東京大学大学院教授)
8【英語教育】「グローバル化で英語ニーズ増加」の虚実
(寺沢拓敬・関西学院大学准教授)
9【共通テスト】大学入試改革は「失敗」から何を学ぶべきか
(中村高康・東京大学大学院教授)
10【大学教育】「広く浅い」学びから脱却せよ
(苅谷剛彦・オックスフォード大学教授)

III 教育政策は「凡庸な思いつき」でできている
11【EdTech】GIGAスクールに子どもたちの未来は託せるか
(児美川孝一郎・法政大学教授)
12【九月入学論】推計作業を通して見えた不毛
(相澤真一・上智大学准教授)
13【学費】大学無償化法の何が問題か:特異で曖昧な制度設計
(小林雅之・桜美林大学大学院教授/東京大学名誉教授)
14【教員の働き方】教員という「聖職」に潜むリスク
(内田良・名古屋大学大学院准教授)
15【教員免許更新制度改革】改革のための改革を止めることこそ改革
(佐久間亜紀・慶應義塾大学教授)
IV 少しでも明るい未来にするために
16【審議会】データと研究に基づかない思いつきの教育政策議論
(末冨芳・日本大学教授)
17【EBPM(エビデンスに基づく政策立案)】データと研究に基づかない政策では「教育格差」が変わることはない
(松岡亮二、中室牧子・慶應義塾大学教授)
18【全国学力テスト】全国学テは問題点だらけ:目先ではなく一〇年先を
(川口俊明・福岡教育大学准教授)
19【埼玉県学力調査】世界が注目子どもの成長を「見える化」する調査
(大根田頼尚・文部科学省総合教育政策局、中室牧子、伊藤寛武・慶應SFC研究所上席所員)
20【教育DX】地方と国、教育行政の挑戦:コロナ禍における調査
(八田聡史・文部科学省初等中等教育局、渡邉浩人・文部科学省初等中等教育局、大根田頼尚)

(『教育論の新常識』という書名に相応しいと思われる)あとがき
(松岡亮二)

*肩書きは発刊当時のもの

著者について
松岡亮二
早稲田大学准教授。ハワイ州立大学マノア校教育学部博士課程教育政策学専攻修了。博士(教育学)。東北大学大学院COEフェロー(研究員)、統計数理研究所特任研究員、早稲田大学助教を経て、同大学准教授。日本教育社会学会・国際活動奨励賞(2015年度)、早稲田大学ティーチングアワード(2015年度春学期・2018年度秋学期)、東京大学社会科学研究所附属社会調査データアーカイブ研究センター優秀論文賞(2018年度)、WASEDA e-Teaching Award Good Practice賞(2020年度)、早稲田大学リサーチアワード〈国際研究発信力〉(2020年度)を受賞。著書『教育格差:階層・地域・学歴』(ちくま新書)は、1年間に刊行された1500点以上の新書の中から「新書大賞2020」(中央公論新社)で3位に選出された。


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