
第165回芥川賞候補作
ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実。
夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。
彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。
そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。
夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。川で水浴びをするのが夫の日課となった。
豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが――。
【文庫本】
『水たまりで息をする』が、文庫本になりました。夫がお風呂に入らなくなる話です。解説を水上文さんが書いてくださっています。カバーデザインは瀬戸内デザインの小川恵子さん、装画はムラサキユリエさんです。 pic.twitter.com/66UVpfcUBY— 高瀬隼子(たかせじゅんこ) (@takase_junko) May 18, 2024
【著者略歴】
高瀬隼子(たかせ・じゅんこ)
1988年愛媛県生まれ。東京都在住。立命館大学文学部卒業。2019年「犬のかたちをしているもの」で第43回すばる文学賞を受賞。2020年に同作でデビュー。2022年『おいしいごはんが食べられますように』で第167回芥川賞、2024年『いい子のあくび』で第74回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
「人は小さなことで壊れていく。全てを捨てて狂った夫の好きな暮らしを選ぶ。そうしか出来なかったから。夫は谷に下り、川で水浴びし、台風で行方不明に。主人公は多分再び東京に帰るだろう。たくましく生きててほしい。」
「作者の作品を読むのは「がらんどう」に続いて2作目。
(おそらくは)あえて抑えた描写がかえって心の奥底をがさがささせる。そんな作風は「がらんどう」と同様の手触り。
水たまりに取り残された魚をメタファとして、人の孤独やつながりを描く。
ぼくにはとても響きました。
結末に寂しさとか悲しさとはまた違う、何とも表現しがたい感情が胸いっぱいに広がります。「がらんどう」同様、「小説を読んだ」そんな充実感を味わうことができました。」
「お風呂に入っていない人間の臭いと、不潔さの描写がとてもリアルで、読みながらずっと鼻にシワをよせてしまうレベル。
ご飯を食べながらだと不快になるかもしれません。」
|
|



