世界史の中の蒙古襲来 宮脇淳子 (著) 扶桑社(2021/12/22) 1,155円

2019年6月刊行の同名単行本を加筆修正。

待望の新書化!

著者による「対馬・福岡」元寇史跡レポートを収録。

日本とモンゴルとの関係といえば、誰もが知っている鎌倉時代の「蒙古襲来」すなわち元寇。

元という国のモンゴル人が攻めてきたという前提で語られる国難です。

二度とも水際で追い返すことができたので「神風が吹いた」「鎌倉武士が強かった」「元軍の矢が尽きた」など、その勝因が盛んに論じられてきました。

他方、大陸側ではどう語られているでしょうか。

当のフビライ・ハーンにとっては「辺境のエピソードの一つにしかすぎない」(著者)うえに、いまどきのモンゴル人では、近年まで学校で教えられてもいなかったとか。

では、元はなぜ日本征討に来たのか。

「モンゴル人が主になって攻めてきたものではなかったという視点をもつことが必要」という著者の指摘に、当初の固定観念からまず解き放たれます。

元朝には当然、モンゴル人はいましたが、元の直轄地だった高麗の軍が、日本への嚮導役をさせられたことは、近年の研究により知られています。

加えて、日本遠征の総司令官はモンゴル人の可能性が極めて低く、副司令官も高麗人、漢人、南宋人などで構成されていて「そこにモンゴル人はほとんどいなかった」という著者の見解には衝撃を受けるでしょう。

本書では、モンゴル史を専門とする著者が、『元史』や『高麗史』などの一次資料を紐解きながら、壮大な世界史の視点で「蒙古襲来」を再検証。

歴史好きを飽きさせない一冊です。

<本書の構成>
第一章 日本人のモンゴル観
第二章 モンゴルとは
第三章 高麗とは
第四章 蒙古襲来前夜
第五章 大陸から見た元寇
第六章 「元寇」後の日本と世界
終章 国境の島と「元寇」


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