人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした 大木亜希子(著) 祥伝社 (2019/11/30) 1,540円

仕事なし、彼氏なし、元アイドルのアラサー女子。

夜は男性との「ノルマ飯」、仕事もタフにこなしているつもりが、ある日突然、駅のホームで突然足が動かなくなった。

そして、赤の他人のおっさん(57歳)と暮らすことに――

読めば心が少し軽くなる、元SDN48の実録私小説

芥川賞作家・羽田圭介氏推薦!
アラサーの己を卑下し客観的に書こうとするほど、“元アイドル”に未だ価値があると根底で思っている視線の在り方が際立つ。
コントロールしきれぬ部分も露見するほど筆者が本気だからこそ、本作は映画『ブルージャスミン』を超える魅力を放つ。

SNSで話題沸騰!

ササポン(おっさん)、日本にあと100万人くらいいてほしい。ササポン量産化希望(漫画家 瀧波ユカリ)

ドン詰まるんだ。生きるって、ドン詰まる。
もう書くことしか残ってない。
ドン詰まってる。でもそこから始まるんや。(田中泰延)

「家族」になにを求めるのかってことが更新されつつある時代だと思います。(ジャーナリスト佐々木俊尚)

「あ、人生が詰んだって、こういうことを言うんだ」 自分の弱さを呪った。… 大木さんの物語は、みんなの物語でもある。 いまはこの種の苦しさを振り返ることができるくらいの余裕はできたけど、でもやっぱり思い出すとお腹がギュッとなる。(ハフポスト日本版エディター毛谷村真木)

28歳の春、突如として生活の保証もない、仕事もない、彼氏もいない、貯金だってほとんどない日々が始まった。
残ったのは、手元にある10万円。
「あ、人生が詰んだって、こういうことを言うんだ」
自分の弱さを呪った。
8歳離れた姉から電話があったのはちょうどその頃で、収入が不安定になった私に、「ルームシェアをしたらどうか」という提案を持ちかけてきた。
一緒に住む相手は、姉が「ササポン」と呼ぶ人で、一般企業に勤める50代のサラリーマンだという。
気を遣わなくていいおっさん。恋人でも家族でもないおっさん。
ふと「この特殊な生活の中で自分が変われるかもしれない」という予感がおとずれた。
こうして、私とササポンの日々が始まった。
(本文より抜粋)

「ササポンが連発する名言で毎回救われる亜希子にホッとし、めちゃくちゃに頭がおかしくなってしまう程の浩介とのやり取りにドギマギし、ササポンと大熊の羨ましい発言に頷き、親友たちのライフサポートに感動し、アベジュンにムカつき、セーラー服に囲まれるササポンに爆笑した。」

「人間関係や仕事で思い通りにならないことは多々ある。想像と期待とは違う現実に目を背け、逃げてしまう弱い自分がいる。そしてしばらく経つとたいてい、弱い自分とは向き合わずにそっと忘れ、自己正当化に走ってしまう。逃げた自分を見つめ直し全てをさらけ出している本書には、心が打たれる瞬間がたくさんある。文章がストンと頭に入ってくるのは、書いてある言葉に嘘がないからだろう。素直に表現された葛藤や妬みそして心に傷に、思わず目頭が熱くなることが何度もあった。今まさに仕事や人間関係に悩んでいる人におすすめの本だと思う。」

「自分の20代も同じように周りの価値観に振り回せれて自分をよく見せようとしていたことを思いだしました。こうあるべき、これでなければダメ、周りにこう思われているのでは?など自分の足枷をいっぱい身につけて行動していた気がします。ただその中で、もがいたことが今は良かったと思っています。主人公に共感できるし、そのもがいている姿を羨ましく思いながら応援する隣人のおじさんの気持ちもよくわかります。春の暖かい光に包まれるような一冊でした。」


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