虹の谷のアン L・M・モンゴメリ (著), 松本侑子 (翻訳) 文藝春秋 (2022/11/8) 814円

日本初の全文訳・訳註付『赤毛のアン』シリーズ第7巻

アン・ブライス41歳が家族と暮らす美しい村に、新しい牧師一家がやって来た。

妻を亡くした美男子の牧師と母のない子どもたち。

彼らは、家なき子メアリ、ブライス家の子どもたちと「虹の谷」で幸福にすごす。

中年男女の恋も芽ばえる。

第一次大戦が影を落とす前の平和な時代を描いた長編小説。

アン・シリーズ中の異色作。

タイトルの「虹」
虹は、夢のように美しく楽しく、しかし永遠ではなく、いつか消えていく。

本作では、プリンス・エドワード島の緑豊かな「虹の谷」ですごす子どもたちの無邪気で愉快な少年時代、少女時代と、その終わりを伝える。

特徴1-日本初の全文訳
米国詩人ロングフェローの詩「失われし青春」の一節に始まる日本初の全文訳。

モンゴメリは献辞で、彼女が暮らす村から第一次大戦の欧州戦線へおもむき、命を落とした三人の兵士に本作を捧げた。日本で初めて原書の全文を訳したカナダ文学。

特徴2-訳註付。作中の約400項目について解説
作中に多数引用される聖書の名句とキリスト教、シェイクスピア劇や英詩などの英文学、不可思議な伝説(さまよえるユダヤ人、プレスター・ジョン、聖杯伝説)、料理、衣服、植物、歌、踊り、諺、カナダの歴史と戦争など、小説に描かれる約400項目についてわかりやすく解説。

モンゴメリ文学の奥深い魅力を楽しむ。

特徴3-口絵写真10点、地図2点
カナダ、米国、スコットランド、ドイツで訳者が撮影した本作ゆかりの写真10点(プリンス・エドワード島の虹の谷のモデル、フォー・ウィンズの内海、モンゴメリが本作を書いたオンタリオ州の牧師館、ドイツのハーメルンで「笛吹き」が歩いた通りなど)。

プリンス・エドワード島北海岸とカナダ東部の地図付。

特徴4-くわしい訳者あとがき……小説をより深く味わうために
一、モンゴメリの十冊目の単行本『虹の谷のアン』、主人公はメレディス牧師一家
二、『虹の谷のアン』のエピグラフは、米国詩人ロングフェローの詩「失われし青春」
三、牧師館の子どもたちとメアリ・ヴァンス~名作『ストーリー・ガール』を踏襲
四、魅惑の虹の谷のモデル、魔法がかかった泉
五、中年男女二組の恋~「白魔術」の出逢い、昔の恋人との再会と愛の復活
六、「ハーメルンの笛吹き」~若者たちを戦地へ連れていく「笛吹き」、近づく戦争の影
七、第一次大戦中に執筆された『虹の谷のアン』、モンゴメリ日記より
八、アンの明るく誠実な心、アンの幸せの在りか

美しいカバーと装丁
本作に登場するドイツの伝説「ハーメルンの笛吹き」。

地模様のかえでの葉は、やがて戦地へむかうカナダの青年たち。

風にゆれて死者の魂がそよぐ黄水仙、長靴下(ストッキング)。


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