サムライ先生、日本語を教える 山下知緒(著) 並木書房 (2021/7/10)

40代半ばの武術マニアが選んだ転職先は、初出勤直後に教員が一斉退職するという問題だらけの日本語学校だった。

残されたのは、教員未経験の著者と在校生25人。

さらに翌月には40人ほどの新入生が入ってくる……。

演劇仕込みの声量とサムライ魂を武器に、勝手気ままな外国人留学生相手の波乱の日々が始まった。

風俗店勤務を理由に退学させられた美人学生、生活苦で受験料が工面できない男子学生、日本人女性との結婚をもくろみ、したたかに日本で居場所を見つける失踪学生。

八方破れの新米教員が日本語学校の内情を描いた異色のドキュメント!

この手記は、古流武術家でもある私が、日本語教師として働き始めてからの2年弱に渡る回顧録である。
私が教員になったいきさつ、日本語学校での奮闘、留学生たちのみずみずしい青春群像劇などを楽しんでいただきたい。
なお、個人情報保護への配慮から、勤務地や学校名、登場人物の名前などはすべて変えてあり、実名表記は筆者のみとした。
それゆえに、完全な実録とはいいがたいのだが、日本語学校という業界を知るよすがにはなると思う。
先ごろ、外国人留学生の管理をおこなっている法務省外局の「入国管理局」が「出入国在留管理庁」となり、入管法の改正もあった。
現在は、日本語教師の国家資格化が検討されている。
わが国始まって以来の外国人流入が進む昨今、その最前線の1つである日本語学校は、今後ますます注目を集めていくことだろう。(著者の言葉)

著者について
山下知緒(やました ともお) 1971年生まれ。
二松学舎大学文学部国文学科卒。文学座附属演劇研究所本科卒。劇団と芸能事務所を転々とする。
民弥流居合術、駒川改心流剣術などを学び、中太刀、小太刀、十手、棒、柔術を10年以上修行。その素養に独自の工夫を加え、験(けん)流手裏剣術を編み出す。妻のコミックエッセイ『ある日突然ダンナが手裏剣マニアになった。』に描かれた私生活をNHKドキュメント番組「熱中人」が密着取材して2012年1月に放映。2014年4月、『古式伝験流手裏剣術(DVD付き)』(並木書房)を発表。2018年4月から日本語学校の教壇に立ち、現在も都内の学校に勤務。

「中国人、ベトナム人からはじまってイスラム教徒のさまざまな外国人学生というか若者たちと接したサムライ教師というのか熱血漢教師というのか、日本でも少なくなったタイプの著者の体験したというか戸惑いの試行錯誤の日々が綴られていて、大変興味深い異文化体験記だった(職場内のやる気のない?センセイ方との摩擦も)。
「懲らしめられない人間は教育されない」というのは古今東西の真理に近い言葉。いい意味での「師弟」関係が、著者と「留学生」との間に築けたのではないか。
彼らがハングリー精神をもっているかどうか……。日本もそこそこのハングリー精神をもって、「小さくともキラリと光る国」を維持できたらいいのだが……。そんなことを思いながら読了した次第。」


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