底惚れ 青山文平 (著) 徳間書店 (2021/11/19) 1,760円

一季奉公を重ねて四十も過ぎた。己れを持て余していた男は、密かに想いを寄せていたお手つき女中・芳の二度と戻れぬ宿下がりの同行を命ぜられる。

芳への理不尽な扱いに憤り、男は彼女に奉公先を見返す話を持ちかけた。

初めての極楽を味わったその夜、芳は男を刺し、姿を消した。

芳に刺されて死ねるのを喜ぶ男。

しかし、意に反して男は一命をとりとめた。

人を殺めていないことを芳に伝えるため、どん底の岡場所のどん底の女郎屋の主となって芳を探すが……。

「武家の下働きの男が、紆余曲折を経て遊女屋を開き増やしていく。そんな話なのですが、店を開く目的をあきらかにしてブレずしっかり伝える、働く者にとってよい店にする、働くものから選ばれる店になるなど、今のビジネスの世界でも大切なことがしっかりと書かれています。」

「私の好みとすれば、重厚な武士世界を描いたものが好きだが、この本の場合は、青山氏の小説に取り組む変幻自在さを目の当たりにしたようで、これはこれで楽しめた。どのように落ち着かせるのかと思ったが、終着の記述も思いがけないものではあったものの、心地よく読み終えたものである。」

「小生、いつも参考にさせて頂いている方々の様な気の利いたレビューは書けません。でも作者には底惚れしています。」


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