井戸で発見された溺死体のお腹から取り出された胎児。

彼には大地の「水脈を聴く」能力が宿っていた──。

ひどい頭痛に悩まされるマリアムは井戸の深淵からの「おいで、おいで」という囁きに導かれ、ついには溺死体として発見される。

しかし、その体には胎児が宿っていた。

無事(サーレム)に救われたことでサーレムと名付けられた息子は、耳を澄ませると地中を流れる水の音が聴こえるようになる。

その噂はあっという間に広がり、避けられ孤立するようになるが、水源を探し当て村を襲った干ばつから救うことで必要とされるようになる。

その評判は遠方まで轟き、15歳の少年は「水追い師」として各地で引く手あまたになるのだが──。

アラビア半島に位置し、雨のほとんど降らない小国オマーン。

地下水路(ファラジュ)による独自の灌漑システムは、峻険な岩山や荒涼とした砂漠の地を潤してきた。

『バグダードのフランケンシュタイン』などが過去に受賞したアラビア語圏最高の文学賞「アラブ小説国際賞」に輝く、水をめぐる傑作長編。

「気候変動や水資源の枯渇が世界的な課題となっている今日、この小説が描く「水に囚われる人間の姿」は、過去の物語ではなく、今まさに現代社会が直面する現実の縮図として読み解くことができる」
(本書解説より)

著者について
ザフラーン・アルカースィミー(Zahran Alqasmi)

1974年オマーン生まれの小説家・詩人。これまでに4冊の小説と10冊の詩集を刊行している。
4作目となる『水脈を聴く男』(2022年)が、2023年度のアラブ小説国際賞(International Prize for Arabic Fiction)を受賞し、一躍注目を集める。

山本薫(やまもと・かおる)
慶應義塾大学総合政策学部准教授。東京外国語大学外国語学部アラビア語学科卒業、東京外国語大学博士(分学)。専門はアラブ文学。
訳書にエミール・ハビービー『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』(作品社、2006年)、アダニーヤ・シブリー『とるに足りない細部』(河出書房新社、2024年)など。

マイサラ・アフィーフィー(Maisara Afifi)
エジプト出身。カイロ大学卒業後、1996年に来日。
通訳者として働きながら、平野啓一郎『日蝕』、村上春樹『騎士団長殺し』ほか、森鴎外、太宰治、三島由紀夫らの日本語小説をこれまでに約20冊、アラビア語に翻訳している。


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