心淋し川 西條奈加 (著) 集英社 (2020/9/4)

【第164回直木賞受賞作】

「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」

江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。

川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。

青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。

その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、六兵衛が持ち込んだ張形をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。

裏長屋で飯屋を営む与吾蔵は、仕入れ帰りに立ち寄る根津権現で、小さな唄声を聞く。かつて、荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が手酷く捨ててしまった女がよく口にしていた、珍しい唄だった。

唄声の主は小さな女の子供。思わず声をかけた与吾蔵だったが――(「はじめましょ」)ほか全六話。

生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。

【著者略歴】
西條奈加(さいじょう・なか)
1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノべル大賞を受賞し、デビュー。

2012年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、2015年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞を受賞。

近著に『亥子ころころ』『せき越えぬ』『わかれ縁』などがある。

「西條奈加さん、今まで読んだ本全部面白かったので、今回も読むの楽しみだった。この前読んだ「猫の傀儡」と一緒で連作短編。連作短編て良いよね。ちょっとずつ繋がってたりして、何倍も楽しめる気がする。今回のお話は『心淋し川』という題名にもあるように、ちょっと胸が苦しくなるような哀しみがあったり、そこから幸せが見えたりして色んな感情で所々涙ぐんだ。読めて良かった。西條さんの作品、まだ読んだことないのも読んでみたいな。」

「最近、これはどうかな、と読み始めるも、文体がどうにも我慢できなかったり、厚みのない物語の予想がついてまた最後まで読む気になれず挫折、ほんとそんな繰り返しで、唯一の趣味とも言える読書なのに、歳だからかなあ、堪え性がなくなっちゃったのか、それともわがままになったのか、とひそかにじぶんにがっかりしたり。でもやっと久しぶりに読みたかった時代物に出逢えました。短編なのもよかったかな。でも全編心に染み入るお話でした。なんか、生きていく糧をほんの少しいただけたような。これから作者の他の作品も読んでみようかな。読書の楽しみが増えました。ありがとう。」

「芥川賞の方がアレだったので、口直しに読みました。こちらの方は、読んでよかった・・・人の心をこれほど丁寧かつ繊細に書く事ができる著者は「言葉で表現をする画家」なのではないか・・・と思わせるくらいの文章力です(まるで目の前で出来事が起きているよう!)。また、何気ない描写の上手さも見事!ネタバレになってしまうので詳しくは書けないのがくやしいです。一読の価値あり。著者の他の本も読んでみたくなりました。それにしても、本当に時代小説は良いですね。なんかホッとします、日本人の琴線に触れるのでしょうね。」


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