潜入ルポ アマゾン帝国の闇 横田増生 (著) 小学館 (2022/8/1) 1,320円

アルバイトは正社員を「アマゾン様」と呼ぶ

日本では、アマゾンの動きを熱心に追及するメディアはほとんど見当たらず、アマゾンの野放図な経済活動にくさびを打ち込もうとする官僚や政治家もほとんどいない。

果たして、このままでいいのか。日本は、アマゾンの便利さを享受している間に、アマゾンに飲み込まれていくことにはならないのだろうか。

“世界最大の小売企業”アマゾンによる日本市場制圧は、コロナによってますます進んでいる。

果たして、その現場では何が起きているのか――「アマゾン・エフェクト」の実態に迫るべく、著者はアマゾンの巨大物流センターに潜入する。

さらに、即日配送、カスタマーレビュー、マーケットプレイス、AWSなど、アマゾンのさまざまな現場に忍び込んでは「巨大企業の光と影」を明らかにしていく。

私たちはこのまま何も実態を知ることなく、「アマゾン帝国」に支配されていくのだろうか……日本人に大きな問いを投げかける第19回新潮ドキュメント賞受賞作。

著者の横田氏は、日々の生活用品をほとんどアマゾンで買いそろえています。

さらに、アレクサに頼んでニュースを聞き、映画はアマゾンプライムで観て、漫画や小説はキンドルで読んでいる。

どこにでもいるアマゾンユーザーに過ぎなかった著者が、たったひとりでこの巨大企業の実態に迫りゆく。

「巨象に立ち向かうアリ」の奮闘をご覧ください。

「アマゾンは著者自身も認めるとおり、純粋に消費者として利用している限りは至便なサービスを提供してくれる有り難い存在である。しかし、本書で伝えられるような、労働者や立場の弱い取引先からはできうる限り搾取し、税金を実質的に踏み倒し、社会貢献や人権意識とは縁遠く、倫理観が致命的に欠落しているとも表現できるであろう企業体質をみるにつけて、不安な思いにかられる。市場でのアマゾンの寡占状態が決定的になったとき、このような気質のアマゾンという大企業が消費者に(それとは気付かれにくい形で)牙をむき始める姿も(例えば本書終章で示唆される今後の書籍の高騰の可能性など)想像には難くない。一人の消費者としても、あまり不用意にアマゾンに依存せず、例えば日本に法人税をより高く支払うであろう同業他社や、購入時の通販以外の検討、宅配指定を極力控えるなどといった、適切な付き合い方の必要性について再考を迫られる内容だった。」


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