新車の“当たり外れ”って本当にある??交差が認められている

車の「当たり外れ」ってほんとうにあるの?「公差」という名の機械の個性とは?

新車で同じ車種・グレードの車を2台用意し、実際に運転してみると加速性能や燃費に違いを感じ取ることがあると耳にします。

購入した車に、こういった「当たり外れ」が明確に現れていたらどう感じますか?

新車の当たり外れを見極めるポイントは存在するのでしょうか?

車の製造では「公差」が認められている

車にも、電化製品や日用品と同様、品質に個体差があり、さらにそれらは「交差」として認められています。

例えば、ボディの長さや幅が、カタログで表されている数値よりも若干短かったり長かったりするケース。

しかしこの違いは「パッと見では判別がつきにくい」といった程度ですらなく、車に詳しい人でも精密器具などで測らなければわからない誤差です。

これは、生産された部品の一つひとつはすべてが均等に作られているわけではなく、大きさや長さ、太さに微々たる差があるうえ、ほとんどの車は製造ラインによる大量生産がされており、機械の手によって作られているため。

すべてを寸法通り、100分の1や1,000分の1の誤差をなくして車を作り上げるのは困難なことであるため、敢えて許容範囲を設けているというわけです。

当たり外れの差が出やすいのはエンジン?

車の「当たり外れ」はボディなどではなく、エンジンの性能で差がつきやすいと言われています。

同じ条件下で運転しても、エンジンの吹けあがりや発進からの加速が違う、といったものです。

筆者は過去に軽貨物配送のドライバーを経験していますが、同じ時期に生産・納車されたスズキ エブリイバン(DA17型)を、何台か他のスタッフと共有して使っていた時期があります。

同じNA(自然吸気)エンジンで4速オートマチックの車両でしたが、アクセルペダルの踏み具合を変えているわけでもないのに、各車でエンジンの吹け具合が異なり、燃費も1km/L近く異なることもありました。

ボディと同様、エンジンに使われている部品の長さや幅、径、重さにも個体差があるため、ピストンの動きやバルブの開閉タイミングにも影響が生じます。

少しでも作りにバラつきがあるだけで、カタログに掲載されているエンジンスペックや、車の性能を十二分に発揮できない要因ともなるのです。

もし外れの車だったら打つ手はあるのか?

エンジンや車両の性能が不十分、あるいは不具合が生じやすい車を手に入れてしまったら打つ手はあるのでしょうか。

ある輸入車ディーラーで営業を務めるスタッフは次のように語ります。

「新車であれば、不具合や故障などに対応する”新車保証”がついているケースが多いので、これを活用しつつ最初の車検まで乗り続けるのをおすすめします。

エンジンを含めた車の調子や燃費の良し悪しは個体別に異なるので、必ずしも不具合や故障が起きないという保証はできません。

そのため、新車登録から数年間の保証期間を設けているので、万が一のトラブルがあれば早めに購入した店舗、メーカーが設置しているお客様向けのコールセンターへ相談するようにしていただければと思います」

万が一「ハズレ」の車であっても、車両の交換は行われず、状態に応じて部品を交換・修理する流れとなります。新車保証があれば追加費用をほぼ負担せずに対応してもらえるでしょう。

ただしディーラー側では、新車保証の項目に該当する故障・不具合でなければ対応が難しいそうです。トラブルが生じた際はすぐに相談してほしいとのことでした。

また、「燃費がカタログ値ほどの結果が出ない」といった問題は、個体差による不具合ではなく、カタログ値より2割から3割程度差し引かれるのがセオリーであると考えるべきです。

しかし、走行に支障をきたすような不具合は急なエンジンストップや事故に繋がりかねないため、早めに購入したディーラーや販売店へ相談しましょう。

車を購入する以上、個体差による「当たり外れ」は存在してしまうことになりますが、ディーラーや販売店と相談しつつ、新車保証などを上手に活用してみましょう。



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