EV事業でホンダと手を組んだソニー 協業にまつわるこれだけの期待と不安
“人の命に関わる製品は扱わない”という創業以来の掟を持つソニーが、ホンダと組んで電気自動車を作ると発表しました。
果たしてこの協業、うまくいくのでしょうか。
目次
ソニー本社での緊急記者会見
3月4日の昼過ぎ、突如夕方からソニー本社で緊急記者会見を行うという案内がホンダからありました。
内容はすでに報じられている通り、ソニーとホンダの協業により電気自動車を作るというもの。
ソニーが電気自動車を作りたい旨の話はすでに出ていたけれど、具体案は何も発表していなかったのです。
とはいえ自動車メーカーと組むことになるだろうとは予想出来ました。
以下、アウトラインを紹介します。
毎年1月にラスベガスで開催される最新テクノロジーの見本市『CES』で、前回に引き続き今年もソニーが電気自動車を出展しました。
車両そのものはBMW Z4などの生産を手がけている『マグナ』のプラットフォームを使っているため、自動車メーカーの試作車並みにしっかり作られています。
ただ前回は「電気自動車や自動運転車の車内エンターティメントを提案したい」という意味合いでした。
業界の方なら御存知の通り、ソニーには「人の命に関わる製品を扱わない」という創業以来の”掟”みたいなものが存在しており、その流れからすれば命に関わる商品の代表みたいな自動車は、間違いなく「扱わない対象」になります。
ところが今年のCESでは「電気自動車事業を担当する新会社ソニーモビリティ」を今年春に設立する」と発表したのでした。
明らかに今までと違う流れです。
この発表を受け、多くのメディアが「ソニーもテスラのような電気自動車メーカーを立ち上げるのか?」という記事を出したのです。
結論から書くとソニーモビリティは「今後どうやって電気自動車と関わっていくか本格的な検討を始める部門」くらいのイメージでいいと思います。
すぐ電気自動車を作るという話ではありません。
実際、ソニーが電気自動車を作るのかという取材を受けた際のコメントを意訳すると「現時点で電気自動車工場を新設するつもりはないでしょう。
販売や整備をするようなディーラーを作って行くようなことも考えていない」。
テスラになる計画なし、という理解でいいのではないでしょうか。
だったらソニーは自動車を作らないかとなれば、完全否定でもないような雰囲気です。
ソニーとホンダのEVでの提携は良い動きだと思います。頑張ってテスラを超える車をつくって欲しいですね。
— 松本徹三 (@matsumotot68) March 5, 2022
ソニーがクルマ作りをホンダに委託?
例えば…
ソニーが企画&プロデュースした電気自動車を、既存の自動車メーカーに委託して開発&生産して貰います。
販路は電気自動車の新しいスタンダードであるオンライン。
納車や整備を開発&生産委託した自動車会社に依頼すれば、ソニーが作りたいソニーのフルエンターティメント付き電気自動車を「人の命が関わらないカタチ」で販売出来ます。
アップルが企画している『アップルカー』もアイフォーンと同じく、アップル側でスペックを決め、既存の自動車会社に生産委託するビジネススタイルになると言われています。
ソニーモビリティの設立を見て「ソニーで電気自動車を作るならアップルカーのようなアプローチになるだろう」ということは容易に想像出来ます。
そして今回ソニーが協業相手としてホンダを選んだということになります。
ホンダというメーカー、ブランドイメージも申し分なし。
ソニーと開発経費をシェア出来れば、ホンダとしても出遅れ気味になっている電気自動車のバリエーションを増やせるでしょう。
加えて開発、生産、整備部門を請け負うことで利益を確保出来ます。
参考までに、3月14日時点に於けるソニーの時価総額(企業価値)は14.5兆円。
ホンダが5.7兆円。
ソニーからすれば、ホンダにクルマ作りを委託する感覚でしょうか。
映画ならここでオシマイながら、現実には続きがあります。
ソニーもホンダも独特の社風を持っており、お互いプライドが高いのです。
ソニーは上位に立ってアレコレ指示出したくなるでしょうけれど、興味深いことにソニーの技術力を高く評価しているホンダの技術者はほんとどいないと聞きます。
トヨタとパナソニックの協業だったWiLLのようにならないことを期待したいものです。
ホンダ・ソニー、識者の意見をまとめると「プライドが異常に高いメーカー同士の最悪の組み合わせ」「ソニーがホンダを下請け扱いしてる限りうまくいかないだろう」「ホンダ内でも意見が分かれているはず」って感じだな。なるほどねー
— 宇野維正 (@uno_kore) March 7, 2022
ネットの声
「車内でプレステができるとしたら面白いが、モビリティソフトウェアの競争を勝ち抜けるかはわからない。大手自動車メーカーは数万人規模のソフトウェアのグローバル開発体制と非競争領域のオープンソース化などよりすでに大きな成果がでており、車両データからリアルタイムで拡大するクラウドの3D HDマッププラットフォームは北米24万キロをカバーするにいたるなど世界最大規模になっているものもあり、ゲーム機の延長線上ではなくサービスとしてのモビリティはソニーとて簡単には行かないだろう。」
「お互いの強みを持ち寄って、世界で戦えるEVに仕上げて欲しいですね。テスラに乗ってるよりも、ステイタスというか、先進性に自信を持てるような移動体に仕上げて欲しいかな。でも メンテナンス対する安心感は、確実にテスラを上回りますね。楽しく 頑張って 素晴らしい製品を!期待値を大きく上回って、裏切って欲しいなぁ」
「やはりテスラ等の輸入車より国産車のほうが安心信頼できるのでソニーホンダのBEVにはすごく期待してます。これからいろいろと国産BEVも増えてくると思うけど、現時点では一番の注目株かな。」