巨人「東京ドーム100億円大改修」真の狙いは? コロナ対策だけではない“裏の事情”
東京ドームの大改修は巨人にどのような効果をもたらすのでしょうか。
コロナ禍が長引き野球界も大打撃を受けている。そんな中で老舗球団・巨人は新たな収益モデルを生み出すべく、今後へのスタートを切りました。
長年、望まれている新球場建設はひとまず凍結し、現実路線での戦いを挑んだ形です。
目次
総額100億円の設備投資
「改修プラン発表時は先行きが見えないコロナ対策が最重要課題とされていた。世間の状況が変化し始めて改修内容がマイナーチェンジされた印象。ウィズコロナと大打撃を負った経営面の立て直しの両立へ向け舵を切った。お客さんに最大限の安全を担保しつつ球場からお金を生み出す。これまでとは異なったスポーツビジネスの形態を模索している」(スポーツマーケティング関連会社関係者)
ドームの大改修が終了し、3月1日には報道陣に公開。
翌2日には西武とのオープン戦で実際に使用された。外野席上のメインビジョンが従来の約4.4倍となる国内最大級の大きさに拡大され、外野フェンス上部にはLEDのリボンビジョンも設置されました。
入場ゲートやコンコース、ラウンジなどのデザインも大幅にリニューアル。
場内の飲食、グッズ販売などは完全キャッシュレス化され、顔認証での入場が可能となるシステムも導入され、総額100億円の設備投資が行われたのです。
「東京ドームと読売が目指したことは3つあります。第1は新型コロナウイルス対策。第2はデジタル化の促進。第3がウィズコロナを意識しつつお客さまの満足度を高めることです」(20年7月/巨人・山口寿一オーナー)
20年11月に株式会社東京ドームの全株式の約2割が三井不動産株式会社から読売新聞グループ本社に譲渡され、球団と球場が一体となった運営が可能になりました。
これに先立ち東京ドームの大規模改修プランは発表されていました。
その時に山口オーナーが語ったように世界中で猛威をふるっているコロナ対策が優先課題であり、ビジョンなどを含めたハード面はその次に来る案件だったのです。
実際にコロナ対策の徹底がなされたのです。
コンコースには高速道路のトンネルなどで見られる乾電池のような形状の空気清浄設備が大量に設置。
入場ゲート等での非接触化も強化されました。
そして、それと同時に収益増加に向けての環境作りも施設改修の柱の一つにもなっているのです。
読売新聞グループ本社、読売巨人軍、東京ドーム、三井不動産の4社が各社の知見を集結し、東京ドームにおいて過去最大規模のリニューアルを実施すると発表
メインビジョンは国内最大級のフルカラーLEDビジョンに改修
外野フェンス上部のリボンビジョンも新設 pic.twitter.com/AFm9fIMBJH— スポーツ報知 巨人取材班 (@hochi_giants) December 13, 2021
ここ数年のマイナスを取り戻す
「ここ数年のマイナス分を取り戻すには即効性ある策が求められる。大きな柱と考えられたのが広告収入です。地上波放送はなくなってもDAZN等の配信を通じて巨人戦を見る人は多い。時代に即した形での広告出稿を提案すれば広告がこれまで以上に集まるはず。外野席上のメインビジョン拡張などはそのためでしょう」(大手広告代理店関係者)
試合中の演出にも活用できるが主となるのは広告掲載。
これからは動画広告や数企業の広告を交代で掲載することも可能になります。
球場内最大規模のスペースのため企業側としても旨味は大きく、金額が上がっても出稿を希望する企業は多いそう。
配信中心となれば地上波のようにCM提供企業に気を使う必要もなく写り込みを増やすことなども可能です。
また、改修は他の狙いも感じられます。
「従来の立ち見スペースに個室型スイート席を新設するなど、客単価が上がることが期待されている。また立ち見席がなくなれば、立ち見席券の客が内野席等へ入り込むことを防ぐために割いていたスタッフも必要がなくなり人員削減にも着手できる」(大手広告代理店関係者)
各種デジタル化とともに大きく報道されたのが、多様な観戦スタイルに対応できる新設された座席です。
テーブル、モニター付きで充電用電源を備えた4人定員の個室スタイル席なども登場。
法人向けスイートエリアもフルリニューアルされバーカウンタースタイル席もできました。
プレミア席が増え収益が高まるとともに個室席などが増えたことで蜜状態を避けコロナ対策にもつながります。
「コロナ禍が収束してもしばらくは観客動員での苦戦が予想される。平日とはいえ改修後初戦だった西武戦の観客動員は8708人。少な過ぎるとも感じるが想定内の数字だった。新席種以外の席に関しては従来のままで『席間隔が狭くて不自由』という声も多かったが改修されていない。満員になる試合は少ないという予測があるからでしょう」(巨人担当記者)
今季から観客数の上限は撤廃する方針で、西武戦もチケット販売時は観客数の制限は公開されていなかったのですが、コロナ禍前の水準には遠く及んでいません。
そのような中でも巨人は改修によって収益が上がるよう取り組んでいる最中なのです。
東京ドーム改修工事でスクリーン拡大されてリボンビジョンも付いたけどライブではどうなるんだろ?
普通は使わないけどあれだけデカくて高性能だからセットの一部として使えないものなのかなぁ?
音響もパワーアップし球場内演出も躍動感増したらしい
進化したAqours×進化した東京ドーム
より楽しみ♪— ときわのはねひゅー?? (@tokiwa_hanehyu) March 9, 2022
観客動員だけに左右されない運営に注目
「23年開場予定の日本ハム新球場への期待度も非常に高く、世界に誇れるスタジアムを建設することができれば最高です。しかし莫大な時間とお金がかかりコロナ禍で打撃を受けた巨人にも余裕はない。観客数が少なくても大きな収入を得るためのビジネスモデルを作っているのだろう。チケット、グッズ、飲食なども重要だが、『試合日の球場内収入が大きな柱』というスポーツビジネス界の常識も変わろうとしている」(スポーツマーケティング関連会社関係者)
88年開場のドームは老朽化も進み新球場建設への期待は大きい。
しかし都内一等地という現在の立地条件をクリアする場所はほぼ残されていません。
現在地で建て替えるにしてもその間の本拠地の問題が出てくるのです。
そしてコロナ禍においては野球を含めエンタメ界全体の先行きが不透明な状態。
そうなると新球場建設案を凍結させドーム大改修を選んだのはビジネス的に正解ともいえるでしょう。
世界有数の都市・東京を代表する球場が今のままでは寂しい感じもしなくはありませんが、未曾有の状況下ではサバイバルがまずは重要課題。
巨人とドームの英断が成功例となればスポーツビジネスのモデルケースともなりえます。
観客動員だけに左右されない球団経営は成功するのか…。
今季の巨人の戦いぶりと合わせて注目したいところです。
東京ドーム改修してビジョン大きくしたみたいだけど、これ野球でってよりかはライブとかコンサートでこのビジョンで映像写したらすごいことになりそうだよね。
— るい (@Rui_StormySea) March 7, 2022
ネットの声
「東京ドームも完成してから34年、改修しているといっても老朽化も進んでいるでしょうし
そろそろ移転も考える時期にきていると思います。
築地の市場の跡地に新球場を作るという噂を聞いたことがありますが、その話はどうなったのでしょうか。
天然芝の野外のポールパークを近い将来東京都内に作っていただければ野球界も今以上に盛り上がるのではと思ってます。」「強いチームであること+千両役者あるいは次代の主役が欲しいよね。球場がきれいに越したことはないけど、やっぱ試合を見に行くわけだから。お金払ってわざわざ現地まで見に行きたいと思わせるようなチームなら多少の窮屈は我慢しますよ。」
「大型ビジョンとかの改修もそりゃいいかもしれない。でもあの狭いシートに座るお客さんの事考えてるのかな?通路に遠い真ん中位の座席に座ったら最悪でしょう。トイレに行くにもビールを買うにもどうにもならない。マジにもっと座席間のピッチを広げて欲しいと思います。まあそうしたら客席が減り収益減になるから絶対しないだろが。
そこが改善されたらスタジアムに行きたいなあ。今のままなら家でCS見てるのが最高です。」