
今年の1月末に全米で公開され、初登場2位を記録したAIホラーが、動画配信&ソフトリリースの形で日本上陸を果たした。
人間のために作られたセックスロボットが暴走し、人々をとんでもない状況に追い詰めていく内容。
10万ドルという超低予算で作られ、撮影地も郊外の別荘と森が舞台なので、実にこぢんまりとした作品なのだが、ロボットの表現などに手抜きはなく、既視感のある近未来映画となっている。
目次
人間ではないセックスロボット
愛するボーイフレンド、ジョシュと共に、郊外の湖畔にある裕福な友人の別荘を訪れたアイリス。
集まったのは家主と、その彼女のキャット、ゲイカップルのイーライとパトリックの計6名。
だが家主のロシア人が一人でいたアイリスに迫り、アイリスが逆に彼を殺してしまったことで、歯車が狂い始める。
実はアイリスはジョシュのセックスロボットで、人間ではなかった。一体何が起こったのか?
主演は、『異端者の家』(2024)でヒュー・グラントにいたぶられたシスターを演じたソフィー・サッチャー。
ドラマ版の『エクソシスト』(2016)や『ブギーマン』(2023)など、ホラー作への出演も多いサッチャーは、本作でも作り手の意図を受け止め、全身血まみれになったり、裸足で森を走り回ったり、体当たりの演技を披露している。
相手役の助手を演じるのは『ザ・ボーイズ』(2019~)のヒューイ役でブレイクしたジャック・クエイド。
デニス・クエイドとメグ・ライアンの息子というサラブレッドだが、そこに胡坐をかくことなく、積極的に様々な役に挑んでいる。
監督はテレビで長いキャリアを築き、本作が長編映画デビュー作となったドリュー・ハンコック。プロデューサーには『バーバリアン』(2022)や全米大ヒット中の『WEAPONS』(2025)の監督ザック・クレッガーが名を連ねている。
自我を取り戻していく
AIを組み込まれたロボットやサイボーグが反乱を起こす映画は『ブレードランナー』(1982)や『ターミネーター』(1984)を例に挙げるまでもなく、山のように作られてきたが、本作では人を癒すために作られたロボットが、自我を取り戻していく点が新鮮だ。
回想で、アイリスが業者から運ばれてくる場面は、大ヒットしたアニメ『ロボット・ドリームズ』(2023)を思わせ、アイリスの性格や知性の設定がタブレットで自由自在になる点も面白い。
本作はSFホラーの体裁を取っているが、カップルにありがちな、人間関係のバランスを描こうとしている。
カップルでも友人でも、自ずとどちらかが支配的になっていくのが人間というもの。
支配する側はそのことに快感を覚え、支配される側は責任が自分にあると自身を責め立てる。
そんなよくある関係に、本作は疑問符を投げかける。ぜひ裏に隠されたテーマに目を向け、監督たちが伝えようとしていることをくみ取ってもらいたい。
低予算だがトップレベルのクオリティ
BDの画質だが、森の奥行きなど細部がしっかり表現できており、トップレベルのクオリティと言えよう。
アイリスがジョシュと出会うスーパーの空気感など、仮想の世界と現実世界の描き分けも、段々とその違いが見えてくるはずだ。
音声はドルビーアトモスとドルビーデジタル5.1chの2種を収録。大作のようなド派手なサラウンドはないが、些細な音使いが影響を及ぼすので、対応機器をお持ちの方はぜひドルビーアトモスを試していただきたい。
特典は短いメイキングを3種収録。「これは自分探しの物語なんだ」と語る監督や、カラーコンタクトを付けて爆笑するソフィー・サッチャーの様子が楽しめる。
またロボットアームの場面では本当に作った腕を取り付け、元々ある腕をCGで消すという逆転の発想でVFXを使うなど、ユニークな撮影風景も見られる。
本編鑑賞後は、ぜひ特典映像もチェックすべきだろう。
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