AT車の事故率はMT車の2倍…台数の違いはあるけど…

なぜ2倍も違う? MT車よりAT車のほうが「事故率」が高いワケ

日本において、AT車よりMT車のほうが事故率が低い……という話を聞いたことがあるでしょうか。

「そりゃあそうだ。日本では約98%がAT車で売れているのだから、走っているクルマの数が違う分、事故率が多いに決まっている」という理屈もあるにはあるのです。

ペダル操作のラクさが諸刃の剣となっている可能性も

AT車とMT車をそれぞれ分けて、同数のなかで事故率を算出した結果、AT車のほうが2倍近く事故率が高い……というデータがあるとしたら、どうでしょうか。

その理由はいくつか考えられます。

2ペダルのAT車は誰もがイージーに運転できるメリットがあるのに対して、運転操作が単純だから、運転に対する注意力が散漫になりがち。

一方、3ペダルのMT車はペダル操作に気を使う必要があるため、運転に集中しやすいという理屈です。

さらに、最近よくニュースで報道される、コンビニなどの駐車場で店舗に飛び込んでしまう事故も、ペダルの踏み間違いと言われていますが、AT車でブレーキの代わりにアクセルを踏んでしまったことが原因のひとつとされているのです。

なにかの拍子に、ブレーキから足が離れ、クリープ現象によってクルマが前に出てしまったとき、慌ててブレーキを踏もうとして、間違えてアクセルを踏んでしまう、という誤操作です。

しかし、MT車なら、前に出るためにはクラッチ操作が必要なため、2ペダルのAT車に起こりうるペダルの踏み間違いによる急発進(後退含む)は起こりにくいため、事故もまた起きにくいというわけです。

もちろん、クラッチを踏んでいる状態でアクセルペダルを踏んでも、空吹かしになるだけで、急発進はしないのです。

いまMT車を選ぶ人は運転が上手い!?

AT車はたとえば渋滞時などペダル操作がラクで、ACCを作動させていれば、ほぼ自動で停止、発進を繰り返してくれる便利さもあります。

一方で、運転がラクであるがゆえに運転以外のことを考えてしまう、あるいは違反ですが、スマホなどを注視してしまうなどの運転とは関係ないところに意識が集中しやすいとも言えます。

とはいえ、AT車とMT車の事故率の違いは、それだけではありません。

そもそもMT車をこの時代にわざわざ選ぶようなドライバーは、運転好きであるとともに、運転に集中したい運転上手な人たちであるという理屈です。

暴走による自損事故はともかく、運転に対する意識の違いが、事故率の低さにつながっているようにも思えます。

AT車の事故率はMT車の2倍

ちなみに、鳥取環境大学環境情報学部情報システム学科の研究によると、事故の形態で見ると、右折、左折、出会い頭、追突、正面衝突に分けた場合、正面衝突だけはAT車とMT車の事故率は同等。

しかしそれ以外の事故では、MT車に対してAT車が約2倍の事故率であることがわかっています。

事故率が低いからMT車に乗りましょう……などと言うつもりはまったくありませんが、AT車は運転手の意識の持ち方によって運転に対する注意が散漫になりがちです。

また、ブレーキから足を離した時にクリープ現象で前に出てしまうことを念頭に、常に運転に集中するとともに、ペダルの踏み間違えにとくに注意して運転しましょう。

免許返納をすべき高齢者ならずとも、「最近、運転に集中できない。ヒヤッとすることが多い」というなら、AT車、MT車にかかわらず、即刻、運転をやめたほうがいいでしょう。

事故によって自身はもちろん、他人の命、財産を奪うようなことになれば、取り返しがつかないからです。

ネットの声

「MT乗りの方が上手とか安全意識が高いとかは疑わしいです。ただ、MTの方が運転に集中せざるを得ず、楽するために先読みするようになるのは確かです。上手に運転したい欲求がわいてくるのはMTです。」

「MTの運転は、純粋に楽しい。ただハンドルを握ってるだけ、アクセル踏むだけ、みたいな瞬間が、AT車より明らかに少ない。長時間渋滞が続くとちょっとめんどくさい、という欠点はあるけど、それ以外の場面ではMTの方が運転自体を楽しんで集中することができるので、注意力散漫になりにくい、というのはあると思います。車を探す時はいつもMTに限定して探すのだけど、年々MTのある車種の選択肢が少なくなっていくのが寂しいです。」

「コーナを何速で回るか。MT車に親しい人なら分かって頂ける感覚でしょうか。何速何回転で、ここでシフト、とかを覚えると道も詳しく覚えて、晴れのラインと雨のラインを変えて乾いたところにフロントの外側のタイヤを合わせ込んで。そういう意識で乗れば事故は少なくなると思います。MTでその意識の人はCVTでもイメージでシフトポイントとかを持っているので、運転に対する深度があると思います。今更そんな乗り方をする人が増える訳は無いのですが、意識は持っておいても損は無いと思います。MT車また欲しいな。」



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