「江夏の21球は凄くもなんともない」バッサリ斬り捨てた名将の「腑に落ちる論理
79年11月4日の日本シリーズ第7戦、広島VS近鉄で、江夏豊(広島)が9回裏に投じて日本一を決めた21球…のちに「江夏の21球」と言われた伝説の投球があります。
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凄くもなんともない
これをなんと「凄くもなんともない」と斬り捨てた人物がいたのです。
元巨人監督の藤田元司です。
1981年からの3年間と、89年から4年間の2期にわたって指揮を執り、リーグ優勝4度、日本一2度を達成。まさに名将です。
ある時、藤田監督から「江夏の21球」について「お前、どう思う?」と質問されたことがあると明かしたのは、元巨人の角盈男氏。
「江夏の21球」は球史に刻まれた江夏一世一代のピッチングで、素晴らしい偉業ではあるんだけど、オールド近鉄ファンからすればこんなに悔しい出来事もないわけで、凄い凄いと褒め称えるにもTPOは大事。「10.19」や、「33-4」もしかり。
— キタトシオ (@kitatoshio1982) June 2, 2022
お前は絶対に満塁にしない
角氏は次のように答えました。
「江夏さん、ボクの尊敬する人だし、ああいう風になりたいなと思う人なので、凄いです」
すると藤田監督は、なんとも意外な言葉を返してきたというのです。
「江夏がノーアウト満塁で出てきてあれをやったら、オレも凄いと思う。あいつ、自分で勝手に満塁にして、勝手に抑えたやろ。それ、凄くも何ともないやろ。お前は絶対に満塁にしない」
「すげぇ嬉しかったね、ああいうのは」と角氏は懐かしく振り返っていました。
プロ野球の歴史的名シーンの一つとして語られる「江夏の21球」について、結局は自分で広げたピンチを自分で消しただけじゃないかとまったく評価しない人もいる。水島新司先生もそうだった。
確かに筋の通った批判ではある。 pic.twitter.com/MHrYlE6uYb— キタトシオ (@kitatoshio1982) June 3, 2022
田口の20球のほうがすごい
藤田監督は角氏を鼓舞するために「江夏の21球」を引用したのでしょう。
その甲斐あって、角氏は81年に最優秀救援投手に輝き、藤田政権1年目の日本一に大きく貢献しました。
江夏の21球は確かに自作自演の独り相撲…これはこれですごいのですが、田口の20球はノーアウト満塁からマウンドに上がっての無失点。
田口投手吠える!最後は空振り三振でノーアウト満塁のピンチを抑えました!BIGBOSSも思わず拍手 #swallows #田口麗斗 #フジテレビ野球 pic.twitter.com/bdWmP2NtZk
— フジテレビ野球 (@fujitv_baseball) May 24, 2022
どっちがスゴいのか…江夏の21球は優勝を決める場面だっただけに誰もが知っているシーンですが、田口の20球はもっとしびれましたね。
10回表 田口の20球。
あと1球誰かにファール打ってもらいたかったなぁ。あと長岡ナイスこのシーンを見て、79年江夏の21球と、93年ナゴヤ球場で無死満塁で登板三者三振をとり引分けにしたギャオス内藤を思い出した。#yakult #swallows #神宮球場 #田口麗斗 #長岡秀樹 pic.twitter.com/qfFmOTIk1J
— 三河武士 (@masa_naga19) May 24, 2022
ネットの声
「以前水島新司さんが「『江夏の21球』は自分で招いた満塁ですからね。あれが他のピッチャーが作った満塁を切り抜けたんだったら本当にかっこいいんだけど」みたいなことを仰ってましたけど、 田口の20球 はまさにそれだったからな」
「「田口の20球」とやらは、見てないんですが、凄かったんだろうと思う。思うけど、江夏さんの21球が凄いのは、ノーアウト満塁のピンチを自分で作っといて自分で鎮火させてるんですよ。しかも日本シリーズ第7戦の九回でね。史上最強の自作自演ということです。」
「田口選手。ノーアウト満塁から登板して…それにしても万波選手は今、日本ハムで一番怖いバッターですね。あと思い出したのは日本シリーズのオリックス小林投手とオマリー選手。江夏の21球は山際さんの本でしか知らないんですよね。」