
絶滅寸前でも意外な利点が。
ディーゼル車は今買っても良いの?
モーターがエンジンにとって替わろうとしている現代において、クリーンディーゼルエンジンは驚くほどファン人気が高いのです。
それは圧倒的なトルク感や走りの楽しさによるものですが、音・振動といったネガに取られがちな部分も、エンジンの鼓動を感じられて好印象に捉えられる向きもあります。
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ネガを払拭した最新のディーゼル
ETCゲートで隣に並んだクルマを横目に、わずかに右足の先を動かす。
それだけで、2tほどの車体が、まるで巨人の手で後ろから押されているかのように猛然と加速します。
このディーゼルエンジンならではの強烈なトルクは、一度体験したらやみつきになるでしょう。
2014年式メルセデス E350ブルーテックステーションワゴン。
排気量3.0LのV6DOHCターボディーゼルエンジンは、わずか1600rpmから最大トルク620Nmを発生させるのです。
しかもそれは、購入当時最上級グレードだったE550の最大トルク600Nmを上回ります。
「ディーゼルエンジンは回転数が上がらないからドラマがない」。
一般的にはそう思われているかもしれません。
たしかに(タコメーターの)ゼブラゾーンはわずか4200回転から始まっています。
しかし、リニアにパワーが出て伸びていくエンジンフィールは、モーターの感覚に近く、7速ATがしっかり仕事をして、低い回転域から最大トルクを発生させつつシフトアップしていくので、押し出されるような官能的な加速が長く続くのです。
よほどのことがないかぎり、アクセルを深く踏み込んでキックダウンさせる必要はありません。
100km/h巡行では、7速で1500回転。回転が低いからエンジンノイズも限定的で静か、そのうえアクセル操作も多く求められないため、長距離でも疲れずに走れるのです。
燃費だって、3.0Lターボのわりに悪くありません。
高速だと15km/L以上走るので、満タンにすると1000km以上走行可能と表示されます。
4気筒2.0Lなら、20km/L超えは日常です。
軽油単価の安さのおかげで、ロングドライブでの燃料代に関しては、プリウスといい勝負でしょう。
ディーゼルならではのネガ要素である「カラカラ」音も、乗っていればほぼ気になりません。
人を乗せてディーゼルだと気付かれることもないでしょう。
反ESGな人間なのでディーゼル車かりて近場ドライブしてるんだけど気持ちいい??車は移動手段じゃない、俺は運転するために運転する!!!EVなんて知らね!!!化石燃料大好き!!! pic.twitter.com/pDaUXNpiIM
— チャンピヨ?? (@chickjournalist) October 2, 2021
迫るディーゼル包囲網の一方で日本は?
しかし、東京では早ければ2030年に、日本全体でも2035年までには純内燃機関車の発売が禁止されると報じられています。
このままディーゼル車に乗り続けてもいいものか考えざるを得ないところです。
早く売らないと、ディーゼル車には値段がつかなくなってしまうのではないか、これを機にEVに乗り換えるべきなのか…。
まして、今ディーゼルの新車を買うなど、愚の骨頂なのか…。
海外でも、イギリスでは2030年にディーゼル車の新車は発売禁止に、欧州では2035年に内燃機関車がハイブリッド車も含めて発売禁止になる方向です。
また2025年にも施行となる新排ガス規制・ユーロ7では、厳格な規制への対応コストが非常に高くなるため、実質的にディーゼル車を含めた内燃機関車の販売が不可能になるのではと言われています。
それでなくても排ガス規制テスト不正事件以降、「クリーン」とされたディーゼルエンジンのイメージはガタ落ち。
また欧州の多くの大都市では今も大気汚染がひどく(ロンドンでは政府発表で毎年9000人以上が大気汚染で命を落としている)、PM2.5とNOx排出量が多いディーゼル車に対する消費者の目は厳しいのです。
2015年に50%を超えていた欧州におけるディーゼル車の新車登録シェアは、2020年に28.8%まで激減。
同年9月には、欧州でのハイブリッド車とEV車の新車登録台数合計が史上初めてディーゼル車を上回ったのです。
日本におけるディーゼル車のシェアは、新車販売全体の約6%で過去数年安定しています。
その内訳を見ると、ざっくり5割が輸入車、3割がマツダ車で、三菱とトヨタが残り1割ずつといった状況。
輸入車の4台に1台はディーゼルで、特にディーゼルに熱心なBMWでは、X3やX5のディーゼル比率は9割以上、3シリーズや5シリーズは6割、全体でも6割ほどだそう。
一時期ヨーロッパの自動車が全部ディーゼル車になりそうなほど勢いがあったのがVWの偽装問題でひっくり返ったように今のEVブームもそのうちひっくり返ると思ってる。
ヨーロッパは自分たちに都合が悪くなるとちゃぶ台ひっくり返しをしかねない。日本メーカーがEVに全振りするのは危険。— tkoike1701 (@tkoike1701) September 30, 2021
EVは「アップルウォッチ」、ディーゼル車は「ロレックス」
海外のニュースを聞いて不安に駆られるのは理解できます。
しかし冷静に考えてみましょう。
2030年から2035年にかけて、日本でも純内燃機関車の販売が禁止されるとしても、9年近く先の話です。
ディーゼル車の中古車販売が禁止されるわけではなく、街を走るすべてのクルマがEV化されるわけでもありません。
消費者の経済的負担は非常に大きいので、海外でさえ「ディーゼル車走行禁止・強制的買い替え」のような議論はあまりなされていないのです。
さらに、今の段階でEVを買うと、9年後にどのようなことが起こるでしょうか。
使い方によっては、電池の劣化で航続距離や出力、充電効率が低下していてもおかしくありません。
今後、技術の進歩で、より短時間で充電可能なEVが発売になれば、フル充電するのに1時間かかるような9年落ちのEVを好き好んで買う人はあまりいないでしょう。
そのため、将来の下取り価格は低くなる可能性が高いのです。
EVは、例えるならば、アップルウォッチ。
技術はまだ上振れの余地が大きく、時間の経過とともに、現在売られている製品は急速に陳腐化します。
それに対し、ディーゼル車は、ロレックスのような機械式時計です。
時間の経過による陳腐化と信頼性の劣化は極めて限定的。
メンテナンスコストも予測可能。
長い歴史があり、技術はもうこれ以上進化できない極みに近づいているのです。
究極のカタチといってもいいでしょう。
EVは将来いつでも乗れますが、ディーゼル車の新車には乗れなくなる日がくるのは間違いありません。
今から15~20年経った後、「あの時ディーゼルエンジンのクルマを体験できてよかったな」と思える日が必ず来るのです。
むしろ今こそディーゼル車の買い時ではないでしょうか。
なんか勘違いしてる人多いみたいですが、
世界は「ガソリン・ディーゼル車禁止」へ動いているのであって、「電気自動車以外の禁止」ではありません。
結果的にEVが普及しているだけであり、燃料電池車も入り込む余地があります。エンジン車も禁止されません。禁止されるのはガソリン燃料の方。
— さるのっち (@hirobanosaruno) September 29, 2021
ネットの声
「政策により不当に燃料値上げさせられて、電気自動車買い替えに誘導されなければいいが。I LOVE内燃機関。」
「同じ様な考え方で、一昨年CX-5のMTを購入。北海道の郊外路を走行する事が多いので燃費は、20Km/lを超える事があり、もう1台所有している軽自動車とさほど変わらない位。
短距離走行が多い人には、DPF再生が多くなる等の問題があるけど、ある程度の距離を走る人はメリットが多いと思います。
2035年位まで大事に乗ろうと思ってます。」「昔乗っていたハイエースのディーゼルは石原都知事によって買い替えさせられました。
まあ、さすがに現行のガソリン/ディーゼル車が車検通らなくされることは無いと思います。今乗っている車(ガソリン車ですが)を大事に乗ります。」