仏検察がゴーンを国際手配…帰国させて無罪が透けて見える?

ゴーン被告を「仏検察が国際手配」、フランスで出廷が避けられない理由

日本からレバノンに逃亡した元日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告(68)=金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)、会社法違反(特別背任)の罪で起訴=に対し、フランスの検察当局は4月21日、自動車大手ルノーの資金を不正に流用した疑惑を巡り国際逮捕状を発布しました。

ゴーン被告は日本の司法制度を「不公正」と批判する一方、フランスの司法制度は「信頼できる」と捜査を歓迎。

訴追されても「自らの無罪を立証できる」と強弁していました。

「フランスに行くか」の質問に 明言を避けたゴーン被告

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版によると、国際逮捕状が発布されたのはゴーン被告とオマーンの自動車販売代理店スハイル・バハワン自動車(SBA)の現オーナーと元取締役ら計5人。

AFP通信によると、ルノーと日産の企業連合統括会社とSBAで交わされた計約1500万ユーロ(約21億円)の金銭授受を巡り、不正な流用や贈収賄、マネーロンダリングの疑いが持たれているそう。

容疑はヨットの購入やベルサイユ宮殿での結婚披露宴など、個人的な目的でルノーの資金を流用したとされます。

ゴーン被告は容疑を否定しているようだと伝えています。

ゴーン被告は22日、フランスのニュース専門テレビBFMのインタビューに応じ「ルノーの資金を不法に得たり、流用したりしたことはない」と主張。

その上で「判決が出たわけではなく、無罪を主張する準備ができている」と述べたが、フランスに行くつもりがあるか問われ「レバノン当局に出国を禁じられている」と明言を避けていました。

全国紙社会部デスクによると、フランス検察当局は2020年2月、検察よりも権限が強い予審判事に指揮を委ね、本格捜査に着手。予審判事らは21年5~6月、ベイルートを訪れ、ゴーン被告を事情聴取していました。

東京地裁の判決では 「ゴーン被告が主犯」と認定

ゴーン被告の日本での起訴内容は、日産の元代表取締役グレッグ・ケリー被告(65)と共謀し、10~17年度の役員報酬総額が計約170億円だったのに、支払い済みの計約79億円だけを記載した有報を関東財務局に提出。

退任後、相談役か顧問として受け取る未払いの報酬約91億円を除外したとされています(金融商品取引法違反)。

08年には私的な投資で生じた約18億5000万円の評価損を日産に付け替えたほか、09年にはこの投資に関する信用保証で協力してもらったサウジアラビア人実業家の会社に、日産子会社「中東日産」から計約12億8000万円余りを入金させたなどとしています(会社法違反)。

ゴーン被告の逃亡により“主役不在”で開かれた金融商品取引法違反事件を巡るケリー被告と法人としての日産の公判は60回を超え、東京地裁は3月3日、ケリー被告の起訴内容に「慎重に検討する必要」があるとして大半を無罪としながら、一部重要な点を重視し懲役6カ月、執行猶予3年(求刑懲役2年)、日産には求刑通り罰金2億円の判決を言い渡しました。

判決によると、ゴーン被告の高額な報酬を開示せずに維持するため、支払い済みの報酬だけを有報に記載するよう元秘書室長に指示。

未払い分を隠しながら報酬額の計算書なども作成させ、ゴーン被告は1円単位で把握していたのです。

その上で「犯行はゴーン被告の利益のためになされ、ケリー被告に直接的な利得はなかった。本件の主犯はゴーン被告だ」と認定。背景に「長期の独裁体制で醸成された日産の企業体質があった」と指摘。

つまり、ケリー被告(被告・検察側の双方が控訴)と法人としての日産(確定)の判決で、ゴーン被告の有罪が認定されたわけです。

ゴーン被告は共同通信のオンライン取材に応じ「日本の司法や協力した日産の体面を保つための判断だ」と批判。

主犯とされたことには「不在の私に是が非でも罪を着せたいようだ。司法のごう慢さを示している」と主張しています。

ゴーン被告の裏切りで とばっちりを受けた人たち

前述のデスクによると、実は金融証券取引法違反事件では、検察側の完全勝利は厳しいかもしれないという予想はあったそう。

今回、ケリー被告が無罪となった部分は、司法取引した元秘書室長の証言に対する信用性を否定した結果ですが、ほかにも過去に未払い報酬の不記載について違法かどうかの判例がなく、将来的に顧問や相談役として就任できないなど何らかの理由で報酬を受け取れなくなった場合はどうなるのか――など、予測不能な点があったそうです。

ただ、日産に対する判決が司法判断として確定したわけで、二審東京高裁がケリー被告に無罪を出してしまうと整合性が取れなくなります。

元秘書室長の証言を追認して完全有罪か、一審を追認するのではないかとみられます。

ゴーン被告については、日産側から資料の提供を受けている会社法違反事件の方が有罪は堅いとみられていましたが、公判が開かれる見通しはなく、もちろん判決が出る可能性もまずないでしょう。

しかし、東京地裁判決が指摘した通り、ケリー被告には「直接的な利得」はなかったのですが、受けたとばっちりは軽くありません。

日産は1月19日、ケリー被告が金融商品取引法違反事件に関与して損害を与えたとして、約14億円の賠償を求めて横浜地裁に提訴しました。

日産は金融庁から約24億円の課徴金納付を命じられ、既に納付した14億円について賠償を求めたのです。

ケリー被告は二審で有罪になっても最高裁まで争うとみられますが、判決が確定すれば損害賠償が認められる可能性は高いようです。

ケリー被告側は全面的に争うとみられ、第1回口頭弁論は5月12日に指定されました。

ゴーン被告のとばっちりを受けたのはケリー被告だけではありません。

19年12月にレバノンへの逃亡を手助けしたとして、犯人隠避の罪に問われた米陸軍特殊部隊グリーンベレーの元隊員とその息子は昨年7月、実刑判決が確定し、塀の向こう側に落ちました。

事件を担当していた弘中惇一郎弁護士(ゴーン被告の逃亡後、辞任)も、裏切られた一人です。

数々の裁判で無罪判決を勝ち取るなど「無罪請負人」の異名を取り、保釈を認めさせたのは弘中氏の手腕と関係者をうならせましたが、とんだ恥をかかされてしまったわけです。

フランスで出廷して戦うのか レバノンでさえずり続けるのか

ゴーン被告の両親はレバノン人で、同国では「ビジネスの成功者」「経営のカリスマ」として英雄でした。

しかし、現在では威光は地に落ち、政府に匿(かくま)われた「国際的なお尋ね者」に成り下がってしまったのです。

日本の司法への不信感を理由に国外逃亡を企てたわけですが、感情的な発言ばかりが目立ち、主張する無罪の合理的な理由を明らかにしていません。

ゴーン被告のパスポートはレバノン政府の管理下にあり、それが本人が主張する「出国を禁じられている」という発言の根拠とみられますが、前述のデスクによると、法治国家であれば「公判に出廷する権利を行使し、身の潔白を主張して無罪を勝ち取るため出国したい」という意向を示してパスポートの返還を求めれば、拒否する理由はないはずだといいます。

日仏両国の検察当局からかけられた疑惑が、いずれも事実なら「守銭奴」のそしりを免れないでしょう。

自ら「信頼できる」と語ったフランス当局に「無罪」を追認させるために、法廷で正々堂々と戦うのか。

それとも安全な場所から、さえずり続けるだけなのでしょうか。

後者なら、自らの罪と向き合わず、ただ刑務所行きを恐れる臆病者・卑怯者でしかありません。

今後は国内外のメディアは耳を貸さず、冷笑するだけでしょう。

ネットの声

「もともとルノーはフランス政府が介入しており政府支持のもと日本の日産自動車を子会社化しようとしていた。
今後世の中は電動化シフトしていくとのことでルノーは日産との提携に見切りをつけ日産株を売ってその資金で今後の電動化などの資金に費やしていこうとしている。
また、先日マクロン大統領が再選したことでゴーン氏の件に進展を促すことが出来た。
フランスの裁判にかけることを目的にフランスへと渡航させ裁判にかけて無罪として今後のフランス内の企業で手腕をふるってもらおうとしているようなシナリオが透けて見える。
日産にしてみれば面白くない話だが今後の電動化などの世界展開でルノーにあっと言わせるような自動車開発をしていってもらいたい。」

「フランスや日本の国民の反応が正しいと思うよ。資本主義や民主主義が完璧とは考えず社会主義や共産主義の思想も取り入れて中間層や貧困層を保護して富裕層に負担を強いてバランスを取るやり方は社会や国家の姿勢として正しい。金持ちが損だという理由で社会保障を軽んじて大事な部分まで市場原理に任せて金持ちだけが裁判で勝てる完全資本主義の国が正しいとはとても思えない。ゴーンのように金持ちが特別に扱われ保護されないことにご立腹という姿勢に違和感を感じないのはそういう国の思想に害されてる。ゼネラルのCEOより貰ってないから自分は弁えてるみたいなことを平気で言える人間性が彼は問題。豊田社長より全然能力も下なのにねw 日本の産業全体を考えずに下請け犠牲にしてリストラできるのが外国人経営者だっただけで挙句に裏切って乗っ取ろうとしただけ。手法がドライな無駄カットってだけで彼にしかできない業績回復とはとても思えない。」

「フランスの大統領選挙の時期に出たことには何か裏があるように思う。ゴーンの逃亡にはマクロンが絡んでいるような気がする。弱みを握られているマクロンと選挙前に不利なことが出ないように取引したのかもしれない。ゴーンはレバノンのような不安定な国を出てフランスに行きたいはず。マクロンが再選されたことにより、フランスで裁判をして無罪になり、その後優雅に暮らすシナリオのようなのだろうか。親中派のマクロンは日本のことなど眼中にない。」

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