8割が「月収20万円未満」の非正規雇用…格差を放置した日本社会に待ち受ける悲惨な末路
現在、日本社会に存在する「格差」が生まれた背景、そしてその「格差」を放置した末に待ち受ける困難に迫ります。
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2019年時点で2165万人
健康保険や年金制度に典型的に見られるように、日本の制度は、『カイシャ（職域）』と『ムラ（地域）』という帰属集団をベースとして組み立てられています。
持ち家の自営業で、地域コミュニティの相互扶助の中で生きていれば、出費は少なくなります。
しかし、自営業者が労働者となり、地域コミュニティが衰退すると、必要な出費は増加します。
「少子高齢化」あるいは人口減少の危機は、ムラ（=地方）の崩壊をもたらし、地方でも生活に必要な出費が増えるということを意味するのです。
それでも地元型の生活は、時間と土地・建物と多少の運転資金があれば、これからの社会においても一つのあり方として存在しうるのです。
一方、カイシャ（=都市）においては、古くはホワイトカラーとブルーカラーの格差がありましたが、1950年代半ばから、大企業と中小企業の「二重構造」が注目されました。
1980年代を過ぎると、従来の大企業と中小企業の二重構造に加えて、正社員と非正規雇用の二重構造が注目され始めたのです。
総務省の労働力調査によると2019年時点では非正規雇用者数は2165万人です。
これらの人々はどのような暮らし向きなのでしょうか。
岸田首相はアフリカで「今後3年間で30万人の人材育成」を表明した。素晴らしい意気込みだが、わが国の氷河期世代にはいわゆる「不本意非正規」雇用者が40万人おり、この世代を対象とした国家公務員中途採用で予定されている採用人数は今年度わずか159人という現実を見るといろいろと思うところがある。
— リフレ女子 (@antitaxhike) August 28, 2022
非正規雇用者」の暮らし向き
厚生労働省が2015年11月に公表した「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、全労働者に占める非正規労働者の割合は、ついに約40％に達し、なかでも、働き盛り世代である35歳～54歳の非正規労働者は年々増加しています。
その月収は、20万円未満が80％弱を占め、10万円未満も36％余りに上ります。
社会保険制度の適用割合も雇用保険が約68％、健康保険約55％、厚生年金約52％、賞与支給約31％等という状況です。
男女を問わず、正規雇用から、労働条件が低く抑えられている非正規雇用への切り替えが進んでいるのです。
ただし、忘れてはならないのは、これらの変遷があるにもかかわらず、男女間の格差は並行して存在しており、シングルマザーの人生をより過酷なものにしていることです。
国が非正規雇用を拡大させたせいで、遠くない将来、この超低額の国民年金しかない高齢者が溢れ返る。非正規では老後のための貯蓄なんかできるわけもない。不足分の生活費は生活保護で補うことになる。その時のためにもせめて、生活保護費の減額や利用者へのバッシングには徹底的に抗っていきましょう。
— さいき まこ【言えないことをしたのは誰？】全６巻 (@SaikiMako) August 27, 2022
高卒女性の正規雇用比率「半減」のワケと格差の背景
男女雇用機会均等法が成立した1985年に労働者派遣法が成立し、これをきっかけに「一般職」の派遣への置き換えだけでなく、「男性並みに働く総合職女性」と「非正規女性」という二極分化が始まりました。
総務省統計局「就業構造基本調査」（20～24歳、在学中を除く。）によると、1991年に高卒女性の正規雇用比率は60％台を維持していたが、2015年には30％台にまで落ち込んでいます。
資格や専門知識が必要でありながら、非正規や短期契約での募集しか行っていない職種や、賃金が非常に低く抑えられている仕事があります。
前者ならば、図書館司書、非常勤講師等が、後者ならば、保育士や介護士等がそれにあたります。
看護師も厚遇とはいえず、人手不足に悩まされています。
看護師、司書、保育士、介護士等は、男性よりも女性の数が多い仕事です。
また、住む場所は働く場所で決まる。現代社会では、子どもは自分の働き場所を、基本的には親の職業や住処とは無関係に探さなければいけません。
このため、結婚した子どもは親とは別居しているほうが普通になるのです。
ムラには他人の目があるけれども、都市はこうした縛りがなく、自由で、誰とも接しないで気ままな生活ができることも確かです。
竹中平蔵氏 「私は今、皆さんから
いじめられてばっかりですから…」??非正規雇用者を安く使って、中抜きして
イジメているのはアンタでしょ??#そこまで言って委員会NP pic.twitter.com/M80FNuFWzD
— がもうのかけ小 (@AfYjpB3h5Hp0n6g) August 21, 2022
しかし、かつては三世代同居等の家族や地域の支援を得ることができた介護や子育て等も、都市部ではあまり期待することができません。
現状では、社会の中でムラの切り捨て、カイシャの中での中小企業の切り捨て、大企業の中での非正規雇用の切り捨てが重層的に進行しています。
所得格差や地位格差が大きな社会や集団では、人々の意欲に違いが生じるだけでなく、所得格差や貧困を放置すれば、治安が悪化し、結局、高いコストを払わなければならなくなります。
