「個人タクシー」は儲かるのか? 現役ドライバーが語る、向いてる人・向いてない人の特徴とは
東京都内では約4万7000台のタクシーが、都心から下町、住宅街まで、まさに迷路のような道を日夜走り回っています。
「その先を右に」「そこを左」。
運転手は指示に応えてハンドルを握ります。
目次
コロナも影響、廃業が増加
タクシーの監督機関、東京タクシーセンター(江東区)によると、2021年8月末の個人タクシー(個タク)運転者乗務証の交付者は約1万600人。
法人タクシー運転者の減少と同様に、新型コロナ禍の影響もあって次々と廃業が進んでいます。
また個タク事業者の年齢別構成は、70代以上が実に34%を占めます。
しかも年齢リミットである「75歳以上」が3000人もいるのです。
いずれにしても総じてタクシー運転手は激減しているようです。
個タクは、たしかに休みも乗務時間も自分で決められて、収入も売り上げの100%が自分のものになります。
何事も自分自身の裁量で行えるメリットがあるのですが、利用者がなければ収入は当然0円となるのです。
今日都内歩いてたら個人タクシーでアリスト見つけて外装も中身もエグすぎた…。
マフラーも変わっててエアロも付いてるTRDのフルスケールメーターもめちゃめちゃカッコイイ
3連メーターにエンジンも弄ってあって450馬力らしい。。。
個人タクシー最速をコンセプトに創り上げたらしい。。。圧巻 pic.twitter.com/8NJ9Buw9hu— あやた (@Ayata__re) March 31, 2022
東京都内での平均年収は?
都内の個タクのリアルな年収は、周囲のドライバーに聞くところで数年前なら600万円から700万円くらいだったそうです。
もちろん1000万円を超える“バケモノ”もいました。
しかし今の平均は100万円以上ダウンしているでしょう。
会社と違い、経費は全て自分持ち。
車のメンテナンス、燃料、車庫、自賠責保険、交通共済などの月額固定費。
組合が「でんでん虫」の東京都個人タクシー協同組合(東個協)と、「ちょうちんマーク」の日個連東京都営業協同組合(日個連)の二つあります。
加入するのが個タクの必須となっているので、こちらに本部費、支部費を収めなければいけません。
組合では情報誌発行、無線配車、タクシーチケットやクレジット払いの換金、事務代行、税務申告肩代わり、苦情受付、旅行会や趣味の会も行っています。
ただし、病気やケガで休業すると収入がストップするから、その備えとして相当額の貯蓄は欠かせません。
病気などで個タクを廃業した後、生活保護の受給者になった人も少なくありません。
また、ギャンブル好きは個タクに向きません。
では、どんな人なら向いているのか…。
南流山の帰り
実車で東京へ向かう野田ナンバーの個人タクシー
ステキなブルー色のマークX
カッコイイ?! pic.twitter.com/wY5RG4uftH— Tokyo Kojin Taxi【葛二】 (@kojintaxi4970) April 6, 2022
実録・個人タクシー運転手
個人タクシーには個性的な運転手も少なくありません。
堅いファンが付くこともあるそうです。
東野さん(仮名)もその一人。
東京の業界でこの男を知らないと、特に大田区大森・蒲田の城南地区辺りでは“モグリ”と言われるくらいの人物です。
上客も多く、若い頃は日本映画の黎明(れいめい)期を支えた大女優にたいそう気に入られていたそう。
女優はどこへ移動するにも東野さんを指名しました。
昼飯も何度かごちそうになったそうです。
その東野さんは現在90歳超。
もちろん、今は現役を退いて年金生活です。
妻を数年前に亡くし、楽しみは晩酌で飲む焼酎1合と少々のパチンコ。
1日の小遣いは1000円弱。
腰は少し曲がりましたが、早朝の健康体操は欠かしません。
彼の昔話が面白いのです。
20数年前、千代田区の帝国ホテルから外国人客を羽田空港まで乗せました。
降ろすと、すぐ別の外国人客が手を上げます。
降ろしたところで乗せるのは本当はご法度ですが、ものすごいアピールに思わずドアを開けたのです。
「ナガノ、OK?」
ナガノ。
行き先を言っているのか?
東野さんは都内の中野区ですか、と聞き返す。
「ノー、ナガノ」
聞き間違いではなく、やっぱり長野県だったのです。
うわ、いかつい個人タクシーや
と思って乗ると中の人大抵いい人— プラス・マイナス岩橋 (@maeeeeen) April 5, 2022
タクシー運転手のやりがいとは
「それなら電車の方が早いですよ」
と、メモ書きと手振りで説明するのですが、片言の日本語で「新幹線に乗ったことがない。帰りも頼む」と言う。
急いでいるようだ。
それで、数十年のタクシー人生で最高売上額を記録することになる、往復19万円の長距離を走ったのです。
乗せた有名人で忘れられないのは1980(昭和55)年夏、夜の23時。
渋谷の百軒坂から、意識を失ったような状態の男性が、3、4人に担がれてやって来ました。
「ヨイショ、ヨイショ」
あれー、この人、俺の車に乗るの?
なんか怖いなぁー。
「運転手さん、この人、成城(世田谷区)までお願い。住所は、これ」
メモ書きをよこしたのです。
見ると、超有名な映画俳優。
相当に酔っていて、しゃべることもできない。
よほど飲んできたのでしょうか。
「なんだよー、天下の大スターが、こんな姿、ファンに見せられないよー」と内心でつぶやいて、車を走らせたのです。
それにしても世界的な人物。
万が一にも事故などあったら大変。
安全運転には自信がありましたが、それでも緊張で手が震えたそう。
東野さんが自宅まで無事に送り届けた甲斐あって(?)、男性はその後も多数の作品に出演し続けたのです。
細かなエピソードまでは紹介できないものの、東野さんも、いろいろな人間模様をタクシーという小さなハコの中で見てきたそうです。
業界の高齢化や人手不足、不景気について冒頭で触れたが、日々、人の機微に触れるという意味では、面白い仕事なのは間違いないでしょう。
京都の個人タクシーはやっぱ凄いなぁ pic.twitter.com/2VjpRQzurb
— the、CAR (@CqkdJBx3xUNYefB) April 5, 2022
ネットの声
「個人タクシーを目指しているが、来年1,000万円以下の個人事業主もインボイス制度が始まり、これまでのようにいくのだろうか?と思案している。ただ、働き方の自由度や通勤が無いのは魅力的だ。」
「個人タクシーは確かに儲かるが、個人タクシーを始めるまでに辿り着く時間がかかり過ぎる。」
「儲かるよ。地方都市だけど、1日3万円で月70万円目標(早いと午前中で帰ってくる)コロナの中でも2万円近く稼いでた。で、申告は控え目だから、そこそこの生活してるよ」