アガサ・クリスティー　ルーシー・ワースリー (著), 大友香奈子 (翻訳)　原書房 (2023/12/19)　3,520円

2024年3月8日 2024年3月8日

abundant

とらえどころのないミステリの女王

《タイムズ》紙　ブック・オブ・ザ・イヤー選出！

20世紀を記した非凡な女性作家の生涯

刊行当時の読者たちにとってクリスティー作品は”郷愁を誘うもの”でも”伝統”と関係のあるものでもなかった。

クリスティー自身はハワイにサーフィンに行き、速い車を愛し、新しい心理学に興味を持つという”現代的”な生活をしていた。

だから彼女の小説が出版されたとき、それはやはりわくわくさせる生き生きとした”現代的な”ものだったのだ。

全世界に読者をもつ巨匠アガサ・クリスティー。しかし彼女は職業を聞かれれば無職と答え、書類には主婦と記入した。

当時の社会階層やジェンダーのルールにより平凡なふりをして生きた20世紀の偉大な作家の一生に光を当てる。

口絵16ページ。

#読了
『アガサ・クリスティーとらえどころのないミステリの女王』ルーシー・ワースリー　クリスティーは生粋のイギリス人だと勘違いしていたが、父親は米国人で祖父が事業で大儲けをしたという家系だった　アガサの人生をその前夫、再婚相手、娘、親姉兄たち等と共に↓ pic.twitter.com/pBMsnRRu7H

— windy-Kenny???????????????? (@3faHufRDNfb3GWS) January 20, 2024

目次

序文平凡な見かけにかくれて

第一部　ヴィクトリア朝の少女　一八九〇年代
第一章生まれた家
第二章家族のなかの狂気
第三章家のなかの魔物
第四章破産

第二部　エドワード朝のデビュタント　一九〇〇年代
第五章運命のひとを待って
第六章最高のヴィクトリア朝のトイレ
第七章ゲジーラ・パレス・ホテル
第八章アーチボルド登場

第三部　従軍看護婦　一九一四‐一九一八年
第九章トーキー公会堂
第十章愛と死
第十一章ポワロ登場
第十二章ムーアランド・ホテル

第四部　有望な若き作家　一九二〇年代
第十三章ロンドン生活の始まり
第十四章ロザリンド登場
第十五章大英帝国使節団
第十六章スリラー

第五部　一九二六年　一九二〇年代
第十七章サニングデール
第十八章スタイルズ荘の怪事件
第十九章失踪
第二十章ハロゲート・ハイドロパシック・ホテル
第二十一章ふたたび現れる

第六部　金権主義の時代　一九三〇年代
第二十二章メソポタミヤ
第二十三章マックス登場
第二十四章あなたと結婚すると思う
第二十五章八軒の家
第二十六章黄金時代

第七部　戦時労働者　一九四〇年代
第二十七章爆弾の下で
第二十八章娘は娘
第二十九章人生はかなり複雑だ
第三十章メアリ・ウェストマコット名義

第八部　満潮に乗って　一九五〇年
第三十一章金のかかる大きな夢
第三十二章バグダッドの秘密
第三十三章戦後のクリスティー・ランド
第三十四章特別席の二列目
第三十五章チャーミングなおばあちゃん

第九部　スウィングしない　一九六〇年代
第三十六章クリスティーの財産の謎
第三十七章クィア・ロット
第三十八章女探偵たち
第三十九章引き際を知ること

第十部　カーテン　一九七〇年代
第四十章ウィンターブルック
第四十一章葬儀を終えて

謝辞
訳者あとがき
注
出典
索引

■著者■
ルーシー・ワースリー　Lucy Worsley
オックスフォード大学で古代・現代史で優等学士の学位を取得。卒業後は〈古建築と英国遺産の保護協会〉に勤務。現在は〈ヒストリック・ロイヤル・パレス〉の主席学芸員、BBCの歴史教養番組のプレゼンターを務める。邦訳書に『イギリス風殺人事件の愉しみ方』『暮らしのイギリス史王侯から庶民まで』（NTT出版）がある。

■訳者■
大友香奈子　おおとも・かなこ
英米文学翻訳家。1965年北海道生まれ。早稲田大学第二文学部卒。訳書にジョーンズ『ぼくとルークの一週間と一日』、マキリップ『白鳥のひなと火の鳥』、メルドラム『マッドアップル』、バレット『本の町の殺人』（以上、東京創元社）、ロイド『チェス盤の少女』（KADOKAWA）などがある。

「こういう本が出版されて、うれしい。
アガサのフィクションのほとんどは楽しく読み終えた読者です。
最近になって、作家アガサの実人生も知りたくなっていました。
「主婦」アガサの私生活みたいなところを感じさせてくれた本です。
本書は、読者の知りたいところを教えてくれました。大満足です。」

「この本を読んで驚いた事がたくさんあります。貴族の裕福な子女かと思っていたら少女の頃に財産を失っていたり、ボランティアで病院で働いていたりとか。まだ半分も読んでないんですが驚きの連続です。でもアガサの実像に迫っていることは確かです。後半どうやって作家になっていくのか､謎の失踪事件についてなどワクワクしながら読みたいです。」

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