
日本推理作家協会賞受賞作家が描く、銃乱射事件のその後
「その不謹慎な美しさを、ぼくは愛していた」
世界に降り注ぐ、雨音のような銃声と、銃声のような雨音。
残された銃弾に導かれて、僕は彼女に出会った。
「この映画は、だれかを救うことになるのだろうか?」
スミヒコは映画同好会〈幻燈〉の仲間たちとともに、いつか自分の映画を撮ることを夢見ていた。
しかし、彼らの大学を突然の銃乱射事件が襲う。
穏やかなキャンパスを戦場に変えた理不尽な殺戮は〈痩せ烏〉と呼ばれる正体不明の銃撃犯の死亡をもって幕を閉じた。
後輩たちの命を奪い、親友に二度と立ちあがれない重傷を負わせた事件のドキュメンタリー映画をつくることを決意したスミヒコの前に、ベニと名乗る謎の女性が現れる。
「死はいつも、すぐそばにある。――戦争は、すでにはじまっている」そう告げる彼女に危うさを感じながらも、スミヒコは心惹かれていく。
装画/今井喬裕
装幀/二見亜矢子
久永 実木彦
2017年に「七十四秒の旋律と孤独」で第8回創元SF短編賞を受賞しデビュー。同作を表題作とした短編集が第42回日本SF大賞候補となる。2022年に発表した短編「わたしたちの怪獣」が第43回日本SF大賞候補に、また同作を表題作とした短編集が第44回日本SF大賞候補になる。2025年に『異形コレクション メロディアス』収録の書き下ろし短編として発表した「黒い安息の日々」で、第78回日本推理作家協会賞賞短編部門を受賞。
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