あの日、君は何をした まさきとしか(著) 小学館 (2020/7/7)

『完璧な母親』著者が放つ慟哭のミステリー

北関東の前林市で平凡な主婦として幸せに暮らしていた水野いづみの生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。

深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていた大樹は、何をしようとしていたのか――。

15年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。

無関心に見える妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は、必死で辰彦を探し出そうとする。

刑事の三ッ矢と田所が捜査を進めるうちに、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵が明らかになる。

『完璧な母親』で最注目の著者が放つ、慟哭のミステリー。

【編集担当からのおすすめ情報】

「この小説は価値観を一変させる力がある。軽い気持ちで読み進めれば火傷するかもしれない」(内田剛さん/フリー書店員)
「まさきとしかは、この1作で間違いなく飛躍する。イヤミスの先頭集団に、躍りでるはずだ」(浅野智哉さん/ライター)
発売前から反響続々、ミステリー好きなら必読の一冊です。

「文庫書き下ろし作品。
本作は2部構成になっており、1部では2004年、警察署から脱走した容疑者を追っていた警察に栃木県の前林市で職務質問され、自転車で逃走した15歳の少年がトラックに激突して死亡する事故が起こる。この事故によって、今まで平和な暮らしを送ってきた遺族、特に母親は人生を大きく狂わされていく。ここまでが作品全体の3分の1を占める。残りの3分の2を占める2部では、年代が2019年になっており、東京・新宿で起きた殺人事件に絡んで、1部では全く姿を見せなかった三ツ矢刑事が事件の真相を解明する、というストーリーになっている。巻末の解説にも書かれているが、2004年の事故が2019年の殺人事件にどう関わってくるのかが、本当に作品の最終盤辺りにならないと分からないので、逆に最後まで緊張感を持って読む事が出来る。
愛する息子を失って狂って殺人を犯してしまった母親の描写は本作の見どころとなっているが、純粋な被害者と思われた彼女の息子も、実は殺人衝動という心の闇を抱えており、実際に彼もまた殺人を犯してしまった、という救いようのない結末を見ると、「親の心子知らず、子の心親知らず」という言葉が思い浮かぶ。例え親子であっても、心の闇というものは見抜けないという事実に思わず背筋が寒くなる。
読後感はあまり良くはないが、読み応えのあるミステリー作品である。」

「終盤の展開は面白いが人間関係が密接と希薄が極端な感じが否めない。家族の嘆きは強いが周りが見えなくなる人間は少ない。本当の人間の強さや軟弱さはこれほど共依存的でもない?大袈裟とも多感とも感じた。」


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