あの日、松の廊下で 白蔵盈太(著) 文芸社 (2021/4/5) 748円

旗本・梶川与惣兵衛は、「あの日」もいつもどおり仕事をしていた。

赤穂浪士が討ち入りを果たした、世にいう「忠臣蔵」の発端となった松の廊下刃傷事件が起きた日である。

目撃者、そして浅野内匠頭と吉良上野介の間に割って入った人物として、彼はどんな想いを抱えていたのか。

江戸城という大組織に勤める一人の侍の悲哀を、軽妙な筆致で描いた物語。

第三回歴史文芸賞最優秀賞受賞作品。

「浅野と吉良という二人の上司の間で板挟みになり苦労する中間管理職の悲哀の物語。お仕事小説として読むと主人公の苦労がわかって辛いしそこが面白い。ただ、浅野の部下思いのエピソードがもう1つぐらいあるほうが、斬りかかるところに説得力が出たかも。」

「浅野内匠頭が吉良上野介を松の廊下で斬りつけた事件の原因はいまだに謎である。作者はその謎に向けて、現場にいた梶川与惣兵衛を主人公にして、両当事者間に何があったのかを克明に創作している。本書の真骨頂は両者の行き違いが現代社会でも十分起こりうる事柄であることを説得力ある描写で記述している点である。それぞれの登場人物が現代社会でもその存在を彷彿とさせる筆致で描かれているのである。忠臣蔵は多くの作家によって描かれてきた。しかしこのような視点で両者の対立を想像し、両者に翻弄される梶川与惣兵衛を描いているのは新しい。私は梶川与惣兵衛が現代の善良な中間管理職の悲哀を背負っているように感じてならなかった。中間管理職として精一杯仕事に打ち込んでる人たちにぜひ読んでもらいたいと思う。必ず共感でき、また明日も頑張ろうと元気をもらえる作品です。」

「忠臣蔵、赤穂浪士が好きな方は読んでください。気の利いたレビューはできません。面白かったので皆さん、読んでください。以上!」


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