蟻の棲み家 望月諒子 (著) 新潮社 (2021/10/28) 825円

イヤミスの枠を超えた衝撃作!

誰にも愛されない女がふたり、殺害された…。

事件の背景にあるのは、貧困の連鎖か、家族の崩壊か。

大どんでん返しのノワールミステリーの幕が上がる。

東京都中野区で、二人の若いシングルマザーが相次いで射殺された。彼女達は、ともに売春を生業としていた。

フリーライターの木部美智子は、自分が追う企業恐喝事件と、連続女性殺害事件の間に、意外なつながりがあることに気がつく。

やがて、テレビ局には「三人目の犠牲を出したくなければ二億円を用意しろ」という脅迫状が送られてきて――。

貧困の連鎖と家族の桎梏、目をそむけたくなる社会の暗部を、周到な仕掛けでえぐり出すノワールミステリー。

大どんでん返しの圧巻のラストは、息つく暇なく一気読み必至。

「どうしようもない環境や、選べない道や道徳など、なんの足しにもならない希望など、ない人達は、確かに存在しているし、生きていこうとしている。悪循環の迷路の中で、孤独で、死と背中合わせで。この筆者は、真っ直ぐに偏見なくいろんな人を見る。色眼鏡ではなくて、そこが世論の見方のお手本のように。木部シリーズにはまり読みたいが、そろそろ単行本の字も読めなってきた。電子書籍にしてもらわないと、もう好きな読書もできない。紙媒体は大切だろうが、読む人達の事も考えて欲しい。いつかは全て電子化されるのだから。」

「久しぶりに木部美智子が登場する。やあ、木部さん元気でしたか、と挨拶したくなる。彼女は「電車の中を見回せば一人はいる女性」だが、事件に素直に立ち向かう。衒いや傲りはない。だから、この作品のような「えぐい」世界でも、読者はすっと入って行ける。ミステリーとしては、ラストが一級品。探偵が美智子でなければこんなオチにはならなかっただろう。
それにしても、デビュー作以来、約20年。美智子は歳をとらない。不思議だ。」

「私自身は日本の貧困の状況についてはWEBで見た知識しかないので,作者の描く世界が真実なのかどうかはわからない.しかし,圧倒的な描写力で,ありありとその世界を構築し,その世界に引きずり込まれて,一気に読んでしまった.
親として身につまされるラストも秀逸.」


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