島だけが、すべてを見ていた。
1840年、気仙沼から出航した五百石船・観音丸は荒天の果てに、ある島に漂着する。
そこには、青い目をした先住者たちがいた。
彼らは、その地を「ボニン・アイランド」と告げた。
時を隔てた現在。すべてを失った中年男は、幼少期、祖父が大切にしていた木製の置物をふとしたことで手に入れた。
それを契機に記憶が蘇る。
江戸、昭和、現代。
怒りと赦しの
超弩級ストーリー鳥だけが、
すべてを
見ていた。大藪春彦賞ノミネート作
宇佐美まこと
『ボニン浄土』 pic.twitter.com/9HA0zHyGlz— 小学館文庫 (@sgkbunko) July 5, 2023
彼は、小笠原行きのフェリーに足を向けた。
その船には、チェロケースを抱えた曰くありげな少年も同乗していた。
物語は、ゆっくりと自転を始める。
|