家族「面前」暴力の深層
父の暴言・暴力におびえつづけた母と娘。
母が離婚すればすべてはよくなるはずだった。
だが離婚後、恐怖にさらされた母の人格は徐々に壊れていく。
そして、娘自身も父の面前DVの記憶と歪んだ母への対応に苦しめられる…。
DV家庭に育ったノンフィクションライターの著者が抱いていた「DVには後遺症がある」という実感。
DV後遺症とはどのようなものなのか。
暴力と恐怖の爪痕によって心と脳を蝕まれた被害者には、フラッシュバック、自律神経失調、感情鈍麻、ひきこもり等々、さまざまな症状が表れる。
夫のDVで傷つき別れた後から心身の変調に悩まされる妻、親の暴力を目の前で見聞きして育ち成長後もフラッシュバックに襲われる面前DVの子ども、被害者支援団体、精神科医に取材し、その複雑なメカニズムを明らかにする。
DV後遺症の理解から自分を取り戻す第一歩がはじまる!
【本書の内容】
第1章 父の暴言・暴力におびえる母娘
第2章 離婚後に壊れていった母
第3章 男性が怖い――暴力のダメージで男性恐怖症に
第4章 親子関係がきしむ――母子にあらわれる心身の変調
第5章 二重のトラウマ――子ども時代の虐待と夫からの暴力
第6章 元夫の支配から抜け出せない――コントロールで判断力を奪われる
第7章 子どもを苦しめつづける面前暴力――怒鳴り声でフラッシュバックする
第8章 被害者支援から見えてくるDV問題の実態
第9章 DV後遺症――脳・心・体も影響を受ける
『DV後遺症に苦しむ母と子どもたち』(林美保子著)より
私が面前DVをうけていたのは、母が家を出るまでの16年間だった。母も私も、父のもとから離れたら平和が訪れると思っていたが、まったく違っていた。
母が家を出てから亡くなるまでの45年間、私はおかしくなっていく母の対応に悩まされた。 pic.twitter.com/lAMiQimq7k
— さくら舎 @10年目突入 (@Sakurasha_Pub) February 8, 2022
著者について
林 美保子(はやし・みほこ)
1955年、北海道に生まれる。青山学院大学法学部卒業。会社員、編集プロダクション勤務などを経て、フリーライターに。経営者や著名人インタビュー、エンタメ系など幅広い分野の記事を担当する。2004年より社会的な分野にシフトするため仕事を離れ、ボランティア活動に従事。精神保健ボランティアグループ代表も務める。2012年、ノンフィクションライターとして仕事復帰。以後、経営者インタビューを続けながらも、高齢者・貧困・DVなど社会問題をテーマにした取材活動に取り組んでいる。
著書には『ルポ 難民化する老人たち』『ルポ 不機嫌な老人たち』(以上、イースト新書)がある。
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