親を亡くし一人になった20歳の夏、父よりも年上の写真家の男と出会った――。
男の最後の写真集を前にあのひとときが蘇る。
妙に人懐っこいくせに、時折みせるひやりとした目つき。
臆病な私の心に踏み込んで揺さぶった。
彼と出会う前の自分にはもう戻れない。
唯一無二の関係を生々しく鮮烈に描いた恋愛小説。 解説・石内都
神様の暇つぶし/千早茜
父親を亡くしたばかりの藤子は、かつて父が慕っていた男、全さんに出会う。いつしか全さんに溺れていく藤子。二人が過ごした短いけど濃いひと夏。親子ほど年の差がある二人の一言では表現できない関係に胸が苦しくなった。読み終わったあとも余韻がずしーっと残る物語。#読了 pic.twitter.com/LWDqcRjcM3
— ハル?? (@aiiro_00) September 29, 2019
「鉈でぶったぎるような、重い恋愛小説です。恋愛小説好きの女性でも、敬遠する人がいそうです。妻子ある初老の男と恋愛関係になる女子大生。ストーリーを手短に言えば、そういうことになります。それを気持ち悪いという人は多いでしょう。しかし、登場人物のセリフであるように、「みんな自分の恋だけが美しい」のです。
いい、悪い、ではありません。恋に落ちてしまったら、本人にとってまわりはもうどうでもよくなってしまうのです。命をこがし、黒焦げになってしまう恋の炎を、本作はみごとに描き切っていると思います。ただ、繰り返しますが、読む人を選ぶかもしれません。」「恋愛小説。
作者の作品は数冊読んだが、多様な描き方のできる人だと感心した。
汗の滴るようなベタつくような濃密な愛、短い愛、少女から女への成長が描かれている。
だからといって汚らしくもいやらしくもない。生と死と愛が織り込まれている。
作者の食の描写も素晴らしい。」
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