神様の暇つぶし 千早茜 (著) 文藝春秋 (2022/7/6) 748円

親を亡くし一人になった20歳の夏、父よりも年上の写真家の男と出会った――。

男の最後の写真集を前にあのひとときが蘇る。

妙に人懐っこいくせに、時折みせるひやりとした目つき。

臆病な私の心に踏み込んで揺さぶった。

彼と出会う前の自分にはもう戻れない。

唯一無二の関係を生々しく鮮烈に描いた恋愛小説。 解説・石内都

「鉈でぶったぎるような、重い恋愛小説です。恋愛小説好きの女性でも、敬遠する人がいそうです。妻子ある初老の男と恋愛関係になる女子大生。ストーリーを手短に言えば、そういうことになります。それを気持ち悪いという人は多いでしょう。しかし、登場人物のセリフであるように、「みんな自分の恋だけが美しい」のです。
いい、悪い、ではありません。恋に落ちてしまったら、本人にとってまわりはもうどうでもよくなってしまうのです。命をこがし、黒焦げになってしまう恋の炎を、本作はみごとに描き切っていると思います。ただ、繰り返しますが、読む人を選ぶかもしれません。」

「恋愛小説。
作者の作品は数冊読んだが、多様な描き方のできる人だと感心した。
汗の滴るようなベタつくような濃密な愛、短い愛、少女から女への成長が描かれている。
だからといって汚らしくもいやらしくもない。生と死と愛が織り込まれている。
作者の食の描写も素晴らしい。」


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