ぼくは自分の生まれたところを、これまで知らないでいた――。
自身のルーツである教会を探すも、なぜか中々たどり着けない。
それでもコミさんは気にしない。
うまくいかなかったときのほうが、しゃべったり書いたりして楽しいのだ。
温泉地で目の前に来た列車に飛び乗り、海外でもバスでふらふら。気ままな旅はつづく。
初文庫化。
3月23日発売の中公文庫『ふらふら日記』(田中小実昌・著)の巻末エッセイを書かせてもらいました。田中小実昌さんに6年間も原稿をお願いしてたのに、お会いしたのは1回しかないという話、「逢わずに愛して」。 pic.twitter.com/lU0HSr8mii
— 末井昭 (@sueiakira) March 17, 2022
著者について
田中小実昌
一九二五年、東京生まれ。小説家・翻訳家。東京大学文学部哲学科中退。七九年、「浪曲師朝日丸の話」「ミミのこと」で直木賞を、『ポロポロ』で谷崎潤一郎賞を受賞。二〇〇〇年没。主な著書に『香具師の旅』『アメン父』『上陸』『自動巻時計の一日』『くりかえすけど』、訳書にレイモンド・チャンドラー『湖中の女』、ダシール・ハメット『血の収穫』などがある。
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