犬の報酬 堂場瞬一(著) 中央公論新社 (2022/1/20) 946円

社内で自分を見る目が変わったと思う。陰口も耳に入ってきた。

「今時土下座なんかあり得ない」「典型的な社畜」「出世のためなら何でもやるのかよ」

そう、会社のためなら何でもやる。

大手メーカー・タチ自動車は自動運転実験中に衝突事故を起こす。

警察は発表しなかったが、数日後、この事故の記事が東日新聞に掲載される。

情報はどこから漏れたのか? 総務課係長の伊佐美を中心に「犯人探し」のチームが発足するが……。

新聞記者、内部告発者、そして「社畜」。

それぞれの正義が交錯する、圧巻の経済小説。

著者について
堂場瞬一
一九六三年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。二〇〇〇年秋『8年』にて第一三回小説すばる新人賞を受賞。著書に「刑事・鳴沢了」シリーズ、「警視庁失踪課・高城賢吾」シリーズ、「刑事の挑戦・一之瀬拓真」シリーズ、「汐灘」サーガの他、『犬の報酬』『白いジオラマ』『奔る男 小説 金栗四三』(以上中央公論新社)、「警視庁追跡捜査係」シリーズ(ハルキ文庫)、「捜査一課・澤村慶司」シリーズ(角川文庫)、「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ(講談社文庫)、「ラストライン」シリーズ(文春文庫)、『大連合』(実業之日本社)、『赤の呪縛』(文藝春秋)、『ピットフォール』(講談社)などがある。

「羊頭狗肉。
商品内容に書かれた
「企業の〈失敗〉に対し、男たちは如何に動いたか」
「事故隠し」を巡る人間ドラマ
話題の「自動運転」のリアルに迫る
一切ない。

堂場さんてこんな本書かない人だったのになあ、という感想しかもてない。」

「経済・社会小説とミステリーがブレンドされた切り口。
トレンディな自動運転技術の開発を基軸に、大企業メーカーの内部事情と、内部告発を受けて動き回るマスコミを描いています。
企業倫理を問うと共に、マスコミの報道を越えた社会的制裁の影響に一石を投じています。
最近でも、マスコミ報道が過熱し、大企業を経営難に陥らせたり、そのひと言で政治家を脱落させ、タレント活動休止に陥らせたりと、過剰な社会的制裁が散見しています。
内部告発によるマスコミへのリークは思惑があるはずなので慎重に取り扱うべきだとも力説しています。
「ペンは銃よりも強し」という反面、「ペンの暴力」もあります。
本書は切れ味と後味がもう一つです。
企業側の主人公とマスコミ側の主人公が存在し、両方から案件をアプローチしていきます。
経済・社会小説ならば、読後のスッキリ感がほしい所です。
ミステリーとしては盛り上がりが少ないです。」


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