花街アンダーグラウンド 本橋信宏 (著) 駒草出版 (2026/2/24) 1,760円

三味線の音が夜のしじまにほどけていく街──花街。

京都だけでなく全国の繁華街にひっそりと息づく、日本独自の歓楽地帯である。

芸妓や芸者が白粉をまとい、だらりの帯を揺らしながら駆け抜ける舞妓の姿は、いまや世界中の観光客を魅了し、SNSを通じて瞬く間に拡散されていく。

しかし、その華やぎの裏側には、長い歴史の中で女たちが徒手空拳で切り開いてきた、もうひとつの“地下水脈”が流れているはず……。

本書『花街アンダーグラウンド』は、著者が長年歩き続けてきたアンダーグラウンド・異界シリーズの到達点ともいえる一冊。

上野、新橋、高田馬場、歌舞伎町──これまで描いてきた街の奥底には、花街の影があったともいえる。

今回は特定の街を離れ、「花街」という共通項を軸に、日本の濃厚な文化の深層へと潜っていく。

登場するのは、伝説の芸者、野心を抱く少女、そして夜の世界で生き抜こうとした女性たち。

神楽坂で最高権力者に寵愛された芸者の素顔、江戸を席巻した辰巳芸者の気風、門外不出の秘儀──黒塀の向こうに隠されてきた物語が、静かに、しかし確かな熱を帯びて動き出す。

華やぎと猥雑、欲望と孤独、伝統と変容。

花街は、いつの時代も人間の“本音”が露わになる場所だった。

そこに宿る情念の濃さは、日本文化のもう一つの顔でもある。

花街の見えない地下回路を辿る旅へ──。

本書は、そんな読後の余韻を感じることができるはずである。

ー目次ー。
序章。
第一章 苦界の天女。
第二章 向島に消えた芸者。
第三章 大塚花街の盛衰。
第四章 神楽坂の総理大臣。
第五章 辰巳芸者と羽織芸者。
第六章 飯能芸者一代。
第七章 祇園と舞妓と典奴。
第八章 水揚げとお風呂入り。
終章。

本橋信宏(もとはし・のぶひろ)
1956年生まれ。埼玉県所沢市出身。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。執筆内容はノンフィクション・小説・エッセイ・評論。著書に『歌舞伎町アンダーグラウンド』『高田馬場アンダーグラウンド』『新橋アンダーグラウンド』(以上、駒草出版)。『東京の異界 渋谷円山町』(新潮文庫)、『東京最後の異界 鶯谷』(宝島SUGOI文庫)。2019年には、自身の著書である『全裸監督 村西とおる伝』(新潮文庫/太田出版)がNetflixでドラマ化され、世界190ヵ国に配信され大ヒットを記録。その他、『全裸編集部』『裏本時代』『AV時代』『ベストセラー伝説』など、著書多数。

   
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