鍵盤の天皇 井口基成とその血族 中丸美繪 (著) 中央公論新社 (2022/5/23) 3,300円

斎藤秀雄とともに、日本の音楽教育をリードし多くの優秀な音楽家を育て、演奏家としても生涯活躍した井口基成。

そして、妹・愛子、妻・秋子。

「井口一門にあらざれば、ピアニストにあらず」とまで言われ、今日のピアノ界に深く浸透した影響力と、愛憎渦巻く人間のドラマを描くノンフィクション。

戦前~戦後、終始人気演奏家だった(途中で演奏活動を止めた斎藤秀雄とは対照的)

人望のあるリーダー格(「男気がある」江戸英雄の評)

優れた音楽性とレパートリーの広さ(バロックから近代まで、演奏会で音楽史を弾ききれる)

門弟3000人と言われる名伯楽(妹・愛子、妻・秋子も含めた井口一族から多くの名演奏家を輩出)、子供のための
音楽教室設立、桐朋学園音楽学部の創設など、音楽教育への貢献。
桐朋学園大学学長をつとめた。

楽譜の校訂者としての業績(春秋社版の楽譜「世界音楽全集」。スカルラッティからドビュッシーまで)

以上、「ピアノ界の天皇」と呼ばれた井口基成の「功」のみならず、スキャンダルや挫折など「負」の側面もあぶり出し、その人間像の全容にせまる。

著者について
中丸美繪
茨城県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。日本航空に5年ほど勤務し、東宝演劇部戯曲研究科を経て、1997年『嬉遊曲、鳴りやまず――斎藤秀雄の生涯』で第45回日本エッセイスト・クラブ賞、2009年『オーケストラ、それは我なり――朝比奈隆 四つの試練』で第26回織田作之助賞大賞受賞。他の著書に『杉村春子 女優として女として』、『君に書かずにはいられない――ひとりの女性に届いた四〇〇通の恋文』『日本航空一期生』(令和2年度芸術祭参加作品・テレビ朝日「エアガール」原案、中公文庫)など。


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