奇想の系譜 辻惟雄 (著) 筑摩書房 (2004/9/9) 1,430円

江戸のアヴァンギャルド

奇矯で幻想的な画家たちの大胆な再評価で絵画史を書換えた名著

意表を突く構図、強烈な色、グロテスクなフォルム―近世絵画史において長く傍系とされてきた岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳ら表現主義的傾向の画家たち。

本書は、奇矯(エキセントリック)で幻想的(ファンタスティック)なイメージの表出を特徴とする彼らを「奇想」という言葉で定義して、“異端”ではなく“主流”の中での前衛と再評価する。

刊行時、絵画史を書き換える画期的著作としてセンセーションを巻き起こし、若冲らの大規模な再評価の火付け役ともなった名著、待望の文庫化。大胆で斬新、度肝を抜かれる奇想画家の世界へようこそ!

図版多数。

解説=服部幸雄

【目次】
憂世と浮世―岩佐又兵衛

桃山の巨木の痙攣―狩野山雪

幻想の博物誌―伊藤若冲

狂気の里の仙人たち―曽我蕭白

鳥獣悪戯―長沢蘆雪

幕末怪猫変化―歌川国芳

「岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳。作家の生い立ちや時代の様子なども併せて書かれていることで、それぞれの奇想と言われる表現が生まれる必然が垣間見えるようでした。そのことが私には、当たり前のことなのですが、作品にその時代に、血の通った人間が生み出すものという意識を鮮明にし、いい意味での作品の生臭さを感じることができました。」

「読みながら、そして読み終えて、いい本だなあと感じ入った。

岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳という、江戸時代の絵師の作品が解説されているのだが、作品そのものの特徴や特異性・独創性、絵師の生まれ育ちや作品が生まれた時代背景、絵師たちの師や影響を受けた人物や当時の絵師事情などが手際よく語られる。」

「日本画というと、のっぺりした静的な人物表現をイメージしてしまいますが、こんなにも激しい、動きのある表現をした画家達がいたのかと、驚くばかりです。伊藤若冲と歌川国芳は最近よく目にするので知っていましたが、他は私的には未知の画家でした。特に長沢蘆雪の『薔薇に鶏図』『虎図』『岩浪群烏図』『龍図』には圧倒されました。デッサン力も素晴しい。伊藤若冲の絵には、覗き返してくる眼と覗き穴があるという話にもなるほどと納得しました。」

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