
同じ電車の同じ車両に、たまたま乗り合わせた見しらぬ男女たちがつなぐ、幸せのふしぎスイッチ。
第一話「青戸条哉(あおと・じょうや)の奇跡 竜を放つ」
満員の朝の快速電車。
ぼくは過去最凶の腹痛に耐えていた。
もうダメだと思い、その場にしゃがもうとした瞬間、隣に立つ同い年くらいの女性が、ぼくよりもわずかに早く、しゃがみこんだ。
第二話「大野栞奈(おおの・かんな)の奇跡 情を放つ」
大学時代、わたしは小劇団にのめり込んだが、結局就活をして、食品会社へ。
通勤途中、具合が悪くて社内で声をかけた女性の様子が気になり、駅を一つ戻ってホームに降りると、そこには意外な先客がーー。
第三話「東原達人(ひがしはら・たつひと)の奇跡 銃を放つ」
満員電車での尾行中。
住宅街の駅で降りた捜査対象者に気づかれぬよう後を追っていると、赤ん坊を抱いた裸足の女性が、すごいスピードで無表情のまま目の前を通り過ぎていった。
第四話「赤沢道香(あかざわ・みちか)の奇跡 今日を放つ」
五年ぶりのデート。
満員電車で、男の人の手が、女性のお尻のあたりで動いているのを見てしまった。
女性は、まったく別の男性に「触りましたよね?」と詰め寄った。どうする、わたし?
第五話「小見太平(おみ・たいへい)の奇跡 ニューを放つ」
カップ麺会社の宣伝部で、おれは失敗した。起用した女性大食いユーチューバーが炎上した。
代替案を上司に提案しなければならないが、電車が止まってしまう。
「イッキュウちゃんの動画。見た?」という会話が聞こえたのはその時だ。
第六話「西村琴子(にしむら・ことこ)の奇跡 業を放つ」
満員電車で、彼の浮気相手をひそかに凝視する。彼はわたしの8歳年下で、その女はわたしの16歳下。
有休をとり、女の乗った通勤電車にわたしも乗った。
だが、わたしは決してストーカーではない。
第七話「黒瀬悦生(くろせ・えつお)の奇跡 空を放つ」
ななめ掛けしたボディバッグに拳銃を入れた俺は、とっくに尾行されていることに気がついていた。
目的地の一つ前の駅で降りて住宅街を歩いていると、声をかけてきたのは、尾行していた刑事ではなかった。
小さいけれど確かに人生を左右する(かもしれない)7つのミラクルを描く、連作短編小説!
??#集英社文庫の新刊??
『奇跡集』 小野寺史宜
憂鬱な朝が、少しハッピーになる?
同じ電車に乗り合わせた人々が巻き起こす小さな奇跡のドミノ。
全7編。#奇跡集#小野寺史宜#短編集https://t.co/VPmj0XwkHl pic.twitter.com/1EGhqkh6qI— 集英社文庫 (@shueishabunko) April 18, 2025
【著者略歴】
小野寺史宜(おのでら・ふみのり)
1968年千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年『ROCKER』で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し、同作で単行本デビュー。19年『ひと』で本屋大賞第2位に。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひりつく夜の音』『それ自体が奇跡』『夜の側に立つ』『縁』『ライフ』『夫妻集』『モノ』『レジデンス』『タッグ』『ディア・オールド・ニュータウン』など多数。
「このようなタイプの連作短編集は、初めて読みました。とても読みやすくて、面白かったです。」
「特に第4話にほっとした。こういうのは安堵の反動で怒りに転換しがちで新しい火種になりそうだから、互いに慮っておさめるトコに安心した。
疑いをかけられた不運より、利害関係ないのに足を止めて救ってくれた人がいてくれたことに感謝できる人に…なかなかなれないだろうな…
楽しく読みました。」
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