心はどこへ消えた? 東畑開人(著) 文藝春秋 (2021/9/3) 1,650円

この20年、心は消滅の危機にさらされている。物が豊かな時代は終わり、リスクだけが豊かな時代がやってきたからだ。

人々は目の前のことでせいいっぱい。心はすぐにかき消されてしまう。

社会にも、身近な人間関係にも、そして自分自身の中にさえも、心というプライベートで、ミクロなものを置いておく余裕がない。

それでも心は見つけ出されなければならない。

自分を大切にするために、そして、大切な誰かを本当の意味で大切にするために。

ならば、心はどこにあるのか?

その答えを求めて、臨床心理士は人々の語りに耳を傾けた――。

現れたのは、命がけの社交、過酷な働き方、綺麗すぎる部屋、自撮り写真、段ボール国家、巧妙な仮病など、カラフルな小さい物語たちだった。

『居るのはつらいよ』で第19回大佛次郎論壇賞受賞、紀伊国屋じんぶん大賞をW受賞した気鋭の著者が「心とは何か」という直球の問いに迫る、渾身のエッセイ。

「これまでの東畑さんのように、軽妙な語り口で進んでいきますが、導入から「事例」への展開、事例の内容と解説の切り口は鋭いです。 私自身の事例と合わせて、いろいろなことを考えさせられました。」

「コロナコロナと言ってすべてを置き去りしてきた2年間。最近ほんと忘れていた感触を思い出させてくれる。雑に生きちゃいけないよと感じた。」

「本書は週刊文春の連載をまとめたものだが、冒頭にわりと長い前書きが書き下ろされている。そこでは東畑さんのコロナ禍以前からの問題意識と、結果的にコロナ禍に翻弄され続けることになった連載中の紆余曲折、そして1年間の思考の変化を反映させた書籍全体としての構成が、いくぶん真面目なトーンで語られている。連載を熱心に追いかけていた読者にとっても一読の価値のある文章だと思う。」


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